エリアラ-1

□【狂おしく愛おしく】
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死神派遣協会、資料室。膨大な数の棚が並び、更にその中にそれを遥かに凌ぐ量の書類・文献・スクラップブックなどが分類されて収められている。

中には真偽が怪しい物や、大昔の伝説・伝承といったたぐいの物も混じっていたが、それらも雑多に『資料』としてひと括りに収納されていた。

エリックは、ここ三週間ほど、回収以外の際は資料室にこもりきりだった。主に古びた背表紙の書物を選び、食い入るように読んでは戻し、また選んでは…と繰り返している。

どちらかと言えば『不真面目』という烙印を押されているエリックだが、いつになく真剣な表情だった。

「…リック。エリック」

ハッとした。文字を追うのに夢中で、一瞬、呼ばれているのに気付かなかった。

「またここにいたのか」

「アラン」

エリックは、読んでいた、伝説めいた大体において胡散臭い内容の医学書をサッと背中に回す。

だがアランは隠されたその本よりも、エリックの身体の事が心配だった。

「最近ずっと調べ物してるな。コーヒーでも持ってこようか」

「いや、いい」

アランが興味を示していないと知って、エリックは棚の上部─アランの手が届かない─に本を戻す。

「何を調べてるんだ?あんまり根を詰めると身体に良くな…んっ…」

言葉は、エリックの唇に塞がれた。顎に添えた掌を背に回し、アランをやんわりと抱きしめる。

「心配しなくて良い、お前はなんにも心配しなくて良いんだ…」

「エリック…?」
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