エリアラ-3

□【BURN/前】
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「あーっ!駄目だ!堪えらんねぇ!!」

そうエリックが叫んだのは、NEW YEARになってから半日、12時ジャストの事だった。エリックとアランは、今日未明に勃発したテロリズムに対する報復空爆の死亡予定者の魂を、派遣協会から緊急呼び出しを受けてから、ひたすら狩り続けているのだった。

ウィリアム・グレル・ロナルドの三人は、同時多発テロの方の指揮に当たっている。空爆の方を、エリックとアランが任されたのだった。

だが大規模な空爆で、死亡予定者が建物の下敷きになっていたり、時間が経つにつれて対象者が増えていったりと、遅々として回収は終わらない。不良死神のエリックがイラつくのも無理はなかった。おまけに、もうひとつの理由が──。

「エリックさん。余計な事は言わないでくださいよ!」

焦燥の色を濃くしたアランの声音が、言葉尻を捉えてかき消すように叫び返す。そのうなじはほんのりと、まだ咲かぬ桜色に染まっていた。周囲に幾人かいる派遣員には気付かれなかったが、エリックもアランも、等しくもどかしい思いを抱えていた。

今朝未明、エリックとアランはベッドの中にいた。これ自体に不思議な事はない。だがその状況は。

「あ、あぁん、イイっ、エリックっ、イく…っ!」

「ああ。俺もイキそうだ…っ一緒にイこうぜ、アラン」

繋がった箇所がグシュグシュと濡れた水音を立て、エリックの腰の動きが速くなる。アランが、嬌声を高くした。

「あん、や…っ!エリック…!!」

「アランっ…!!」

そこへ。

──トゥルルルルル…。

「「?!」」

二人がまさに絶頂を迎える寸前、サイドテーブルに並べてあった携帯が鳴ったのだった。鳴っているのは、エリックの携帯だけだ。NEW YEARコールにしては遅過ぎるし、エリックにはNEW YEARコールをするほど親しい死神は、今組み敷いているアラン以外にはいなかった。

「あ…!」

いまだ萎えぬ自身をアランの中に留めたまま、エリックは素早く電話に出て、ゆっくりと腰を使いながら話す。アランは、漏れそうになるハスキーな声を両掌で自ら塞いで、その物足りない刺激に堪えていた。

「…んっ…!」

「こんな夜中に何の用だ」

『アラ、ご挨拶ネ。まずは「HAPPY NEW YEAR」じゃなくて?』

受話器の向こうで、グレルの真っ赤な長髪と笑みが揺れるのが目に浮かぶ。しかしエリックは、取り合わず端的に用件を切り出した。

「緊急か?」

『ご名答ヨ』

「ぁっ…!」

猛ったままのエリックの雄が引き抜かれ、アランは涙声を滲ませる。燃える下肢の感覚はそのままで、絶頂への最後の刺激を求めて、アランの爪先が儚く空をかいた。
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