薄桜鬼
□青空〜そらのむこう〜
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第一幕
五稜郭で風間さんと別れた後、私はしばらくの間そこに留まった。
日中は戦陣跡地を何か遺っていないか捜すように散策し、夜は雨風を防げればと、城郭の中で過ごした。
建物の中は多少なりに荒れてはいたものの、そこには確実に人のいた名残を感じられた。
一つ一つ部屋を探索していくと、残されていた書簡の筆跡から、土方さんの部屋と思える居室を見つけた。
机の上を見る限り、最期のその日の朝まで寝る間も惜しんで働いている姿が目に浮かんだ。
昔と変わらず、眉間に皺を寄せながら厳しい顔で実務をこなしていたんだろうか……
夜中にふと目を覚ますと、いつでもそこには顔をしかめた土方さんが仕事をしている姿が見えるような気する。
いつも仏頂面で仕事をしているあの人にお茶を煎れて、少しは休んでくださいと文句を言っていたあの日々が、まだほんの少し前のことのように感じた。