ひぐらしのなく頃に

□夢壊し編
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 =序=


 空には満月。

 そう、これは全部悪夢なんだ。

 悟史くんが居なくなってしまったのも、みんなを殺してしまったのも、全部全部。
 そう、悪夢であったらいいのに。
 何て都合のいい解釈なんだろ。

 痛みと寒気で、意識が遠のいていくのが分かる。

 ああ
 私が痺れ殺した鬼婆も
 私が締め殺した公由のおじいちゃんも
 私の前で自害した梨花ちゃまも
 私が嫐り殺した沙都子も
 私が突き落としたあの娘も
 私が刺し殺した圭ちゃんも
 そして悟史くん────

 みんな、みんな、
 こんな気持ちで死んでいったのかなぁ

 でも私はみんなとは同じところには行けないね。
 私はもう鬼だから。
 鬼の世界に堕ちるんだ。

 ごめんね、ごめんね。


 誰かが呼んでる声がする。
 温かくて優しい声。
 ずっとずっと求めていた声。


 迎えに来てくれたの。
 ゆっくり重いまぶたを開ける。
 明るい日差しが飛びこんできた。
 あまりにも強烈でまた閉じて。そしてゆっくり開ける。
 知らない天井が映った。
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