薄桜鬼

□―鬼は……?―
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「“鬼は〜外”」

藤堂は手にした落花生を、
屯所である西本願寺の境内に、何気なく佇む風間に投げ付けた。


「“鬼は〜外”」

もひとつ……どころでなく、繰り返し投げ付ける。


「何の真似だ、幕府の犬よ」


風間は睨みを効かせたが、当の本人はお構いなしだ。


「何って、今日は節分じゃん?
節分っつったら豆撒きじゃん?
だから、“鬼は〜外”」


「ほぉ?」


今度は、投げ付けられた落花生を受けとめた。


「いい度胸をしているな、人間。“魔滅(マメ)撒き”如きでこの俺を倒すというか」

「へっ! その台詞、まんま返してやるぜ……

っていうか、こうやって平気で鬼が乗り込んでくるんだから“柊鰯”って効果ないんだな」

「“柊鰯”?」

「柊の葉の刺が鬼の目を刺して、鰯の臭いで鬼が近づけない……っていって、吉野方面出身の隊士が言ってたから、飾っといたんだよ、あっただろ?
門口に」
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