薄桜鬼
□青空〜そらのむこう〜
1ページ/18ページ
序幕
京の町は徐々に雪解けを迎えていた。
明治三年春、
私は比叡山にほど近い、八瀬の地に旧知を訪ねた。
「千鶴ちゃん、いらっしゃい!
また無事に逢えて何よりだわ」
開口一番、彼女はとても嬉しそうにそう言ってくれた。
「うん、私も逢えてうれしいよ。お千ちゃん」
彼女は伏見奉行の戦乱で、新選組の皆とはぐれてしまった私を庇護してくれた人の一人である。
「積もる話もあるだろうから、とにかく中へ―――
ようこそ、八瀬が鬼の里へ、
雪村千鶴さん」
そう彼女は屋敷の前で改まって挨拶をした。