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□き
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「ああ全く。なんて良いプール日和だっていうのにどうして僕はプールに入れないんだ。乾、君のせいだからね。」





みんみんと命惜しそうにやかましく鳴く蝉の声を聞きながら、俺はそうですかと答えた。

ブルーハワイみたいな青空を映し出したプールの中では、クラスメイト達が鯨みたいに潜水している。
時折跳ねる水しぶきが気持ちいい。

不二は芝居みたいな言い方で続けた。


「君が見学だなんて聞いたから優しい僕が『乾、寂しいだろうなあ。みんなが楽しく泳いでるの見てきっと泣いちゃうよ。』って思って仮病を使ってまでやったのに。そっけないなあ君。ねぇ乾、聞いてるの。」


「聞いてない。」


そう言うとああそうなんて言って不二は立ち上がってどこかへ行ってしまった。

だらだらと喉の辺りを流れる汗があんまりにも気持ち悪くて小さく拭う。








突然顔のあたりに衝撃と冷たさが襲いかかってきた。

驚いて振り向くと、ホースを持った不二がにやにやしていた。


「僕に構ってくれない罰だよ。」


そう言うと不二はまた俺に水をかけてきた。あー…体育着びしょびしょ。


不二はひたすら俺に水をかけてくる。

もちろん俺だって黙っているわけはない。不二の脇をすり抜け、ホースの伸びている蛇口に手を伸ばしすばやく捻る。

するとそれまで背中に感じていた水の勢いがぴたりと止まった。

はあ、と息をついてから蛇口にはまっているホースを抜く。



「乾、」


急に耳元で不二の声がした。

あまりに近くから声が聞こえたものだから、引き攣った声が喉の辺りまで上がってきた。






…不二が好きだ。友達としてでなく。


いつからだったか。

そんな風に思い始めたのは。








「生憎ね、僕は男に興味がないんだ。」


もちろん乾にもね。


「気持ち悪い。」



不二はそう言ってから俺の唇をがりりと噛んだ。血が出た。







きっと、心程痛くはない











*
これ不二乾じゃないですね。
不二←乾ですね。
報われないとか、暗いのがこのCPだと思います!!思うっていうか推します。

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