中編

□いいですよ、先生
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あの賭けを約束してから1ヶ月。
先生とは何事もなかったかのように生活している。


『どうやったら勝てるんだろね…。』


そりゃ告白するしかないでしょ。

…ってナミなら言うだろうな。




『でも告白何てどうやればいいのさ…!?』


白熊のぬいぐるみを抱えながらベッドの上で転げまわっていると、下からお母さんに呼ばれた。


















『なんだいママン。』


「先生がいらっしゃったのよ。」


『へぇ。なんの先生?』


「ペンギン先生よ。」


ぺ…?















『うっそん!!!それを早く言ってよママン!!』


もう寝るだけだし、と思ってキャミソールと短パンなんだよ!!



「よぉ。」



て お く れ か



『あ、はは…。
こんばんは…。』


「お前…何て格好してるんだ…。」


あたしだって先生が来るって解ってたらもっとおしゃれしてポイント稼ぎしてたよ!!と、心の中で反抗しつつ現実では苦笑い。


「この子いつもこんな格好なのよ。
あ、ちょっと待っててペンギン
!持っていって欲しいのがあるのよ!




そう言ってお母さんはキッチンへと走って行った。



「相変わらず元気だな、おばさん。」


『いや本当に。』








「………。」


『………。』




って会話が続かない!
どうしたんだあたし!過去の勢いはどうしたんだ!


「…最近どうだ?」


『え!?』


「まさか賭けのこと忘れてないだろうな。」


『あぁ!そのこと!
それは…順調とは言えませんなぁ…。』


こんだけギクシャクしといて順調な分けないじゃない。


『先生はどうですか?』


絶対順調だよ。
あ―切な…。


「奇遇だな。俺もだ。」






・・・ほ?







『と言いますと?』


「だから、俺も全く進んでいないんだ。」


『えっ!?嘘だ!?手が速そうなのに!?』


喋り終わった途端に拳骨を頂きました。



「お互いの立場ってもんがあるんだよ。時期も見ないとな。」


『お互いの立場って…。もしかして先生の好きな人って学校の生徒ですか?』


半分冗談で、笑って聞いてみた。
ほんの、軽い気持ちで。





「あぁ、そうだ。」









軽い気
持ちで聞いた分、心に受けたダメージは大きかった。




『そ、うだったんですか…。』


「ああ。
…この事は内緒だぞ。」


先生はいたずらっ子みたいに笑うと口元に人差し指を置いた。


『だから…期限が卒業式の日なんですね…。』


「そういう事だ。
その方が名前にとっても都合がいいだろ?」


『え?何でですか?』


まさか…あたしが好きな人が先生だってバレてる!?

期待と不安。
勿論不安が大きいけれど、この気持ちに気付いて欲しい。



『(ってかこの場で振られる?)』


いかん、想像しただけで泣けてきた…。



「シャチは鈍いからな。
今の内にポイント稼ぎしてはっきり想いを伝えなきゃいけないだろ?」










鯱とな?












『あの海のギャング?』


「海に住んでる哺乳類じゃなくて名前の隣の席の哺乳類だ。」


この人何言ってんの?



『ちょっと待ってください。
あたしが好きな人は隣の席に居座る哺乳類じゃありませんよ。』


「…何?」


うわ、眉間にシワ寄った…!










「ペンギン、これ貴方のお母さんに渡し
て!」


ナイスタイミングだ母よ!


「は、はい…。」


「こんな夜遅くにごめんね!ほら、名前もお礼を言いなさい!」


『ありがとうございます…?』


あたしは何で先生が家に来たのか知らない。故に何にお礼を言っているのかも分からない。


「じゃあペンギン、お土産ありがとうって伝えといてね!」


あ、そういうことか。


「…ペンギン?」


「…え?あ、はい。わかりました。それじゃおやすみなさい…。」


先生はさっきとは打って変わってヨロヨロと歩いて行った。
大丈夫かな…?





「どうしたのかしら、急に。
名前何かした?」


『さぁ?』


本当にどうしたんだろ?



『(何はともあれ誤解は解けたし、ちょっとは前進したかな。)』



卒業式までもう残りわずか。
明日からまたアタックします!























(覚悟していてください!)
 

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