中編

□2人っきりですよ、先生
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人は皆、びっくるからはじまりびっくるで終わる。

適当に言いました。
すいません。





『っうまー!!』


「名前…あんた日に日にオッサン臭くなってるわよ。」


「これでも恋する乙女なんですけどねぇ…。」


びっくるに恋してるわけじゃありません。
ペンギン先生に恋しているんです。


ナミは飽きれたようにため息をついて卵焼きを口に運んだ。
ちなみにあたしのお弁当箱から。美味しいわね、とか言ってるけどそれ朝から早起きして作ったんだからね!

普通生徒は教室か食堂でご飯を食べないといけないんだけど、あたし達は屋上で食べている。





「シャチから聞いたわよ。ペンギン先生が告白されてるとこ見たんだって?」


『うん、見ちゃった。3年間好きだったけど告白シーン見たのは初めてだったね。』


「…本当にショック受けてないの?」


『何回もシミュレーションして何回も傷付いてるから慣れたんだって。』


「あんたってMだったんだ。」


『先生Sだしあたし達相性ピッタリじゃん!!』


「ポジティブ過ぎて引くわ。」


『引かんといて!』


最後の一滴を飲み干すとビンを地面に置いた。




『…大体さ、あの人スッゴいモテるじゃん。そんなの最初見た時からわかってんじゃん。絶対他からも告白されてるよ。しかも彼女いるよ。あの発言はいること前提で受け止めるべきだね。あーあたしもあの人の彼女みたいに美人になりたいわ。すらっとしててさー、おっぱい大きくてくびれとか凄くて、お尻は大きすぎず小さすぎずキュッと引き締まってて。性格もめっちゃいいんだよ。誰にでも優しくて笑顔が可愛くて、料理も上手で。会ったことないけど。多分だよ?多分そんな感じっていうか理想?あたしがなりたい理想だね。こんな女だったら絶対あの人も落ちると思うんだよね。ねぇナミさん?』


「確かに理想の女性だな。だが誰も彼もがそんなできた女がタイプじゃないと思うぞ。あとナミはジュースを買いに行くそうだ。」


『ぺ――――ン!?』



ペシン



「お前…前と同じだな。」


『……えへ。』




ど、何処から聞かれてたのかな…。
あいつ先生が来たから消えたんだ、絶対そうだ!





「なんだ、ナミと将来の理想について話していたのか?」


『ん!?まぁ、そんな感じ…?



…あの、先生は何処から聞いていたんですか?』



「名前の話か?
すらっとしてて辺りからぼんやりと聞いていたな。」


YES!!
聞かれてない!!


まだあたしはあの子みたいに告白する勇気はないんです。
ダメってわかっちゃいるんだけどね。





「人間なんて人それぞれだ。高い理想を立てて無理に近づこうとしなくていいんだぞ。」


『大丈夫です。所詮口先だけです。今言った中で何一つ実現させる自信なんてありません。』


「今日はやけに消却的だな。」


フェンスにもたれ掛かっていた先生があたしの方に体を向けた。




「いつもの馬鹿みたいなポジティブさは何処へ行ったんだ?」


『馬鹿って失礼ですね。仮にも可愛い教え子に。』


自分じゃなんともないふりしても、やっぱりショック受けてるのかな。








『…先生、』


「なんだ?」


『さっき誰も彼もがそうじゃないっていいましたよね。
じゃあ先生の理想はどんな女性ですか?』


先生はポカンと一瞬口を開けた後少し笑った。
っしゃ。先生のレアな表情ゲット。




「俺はなー…。馬鹿みたいに明るくて、前向きで、料理が上手いやつかな。」



『ほぉ…。彼女さんはそんな人なんですか。』


「…は?」


『彼女ですよ彼女。前大事な人がいるって告白断る時言ってたじゃないですか。』


「あ、あれは…いや、お前聞いていたのか!?」


『てへぺろ。』


焦ってる焦ってる。
いやー…先生も若いわねー…。




ワタワタしていた先生が諦めたように肩を落とした。




「…彼女はいない。」


『…………え゛!?』


「なんだそのリアクションは。」


素で驚いていたら頬っぺたを伸ばされた。


『いひゃ…じゃあ先生片想いなんですか!?』


「まぁ…そんなとこかな。」


『あのペンギン先生が…!!』


一大事だ、これは是非とも皆に広めなければ!!
つーかテンション上がってきた。
あげぽよー!!!!!!



「これ美味いな。」


あたしが百面相している隣で何故かペンギン先生はあたしのお弁当を食べていた。(お、自信作の唐揚げ)




















(つか2人やったー!!!!ナミありがと!!)
 

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