中編

□放課後ですよ、先生
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『それでびっくる奢ってもらったわけよ!』


「あーよかったナー。」


『…シャチさーん?聞いていますかー?』


毎度毎度素敵な恋物語(と言う名の妄想)を語ってくれるのはありがたい。
けど俺は今プリントをしているんだ、集中しているんだ!!


『サボった自分が悪いんじゃん。』


「俺声に出してた?」


『バッチリ。


誰が妄想じゃクルァァア!!』


「キャァァァア!!時間差攻撃ー!?」


頬っぺたを抓られました。とてもとても痛いです。


『つか早く終わらせろ!!そして職員室へ行こう!!先生に会いに行こう!!』


「お前さ、俺を待ってる理由バレバレだからな。さっき可哀相とか言ってたけどもうわかったからな!」


『えっ……!!』


えっじゃねぇよ。
って名前と漫才してる場合じゃねぇ!
俺もこの後バイトあるんだよ!
















―――――……













『待っててね先生ー!!』


俺のプリントを片手に軽やかに廊下を歩く名前。
さっきまで馬鹿騒ぎしていたのにまだ元気ってどれだけ体力あるんだよ。



「(でもあのルフィと幼なじみなら体力もあるか。)」


一人で頷くと前で名前が止まったのが見えた。



「名前?まだ職員室じゃ『(シャラップ!)』ん!?」


さっきまで俺の3m前歩いてたよな?一瞬でこっちに来るって凄くね!?


名前に口を塞がれたまま耳を澄ませる。

















「………あ……だ…?」


「……で……す。」







これペンギン先生か?


…と女の声?




『…向こうだね。』


近くの曲がり角を少しのぞき見すると本当に先生だった。
こいつ、よく先生の声聞き分けられたな。すげえよ。



「……あ、あいつ2組の女子だ。」


『知ってんの?』


「あいつ、中々有名だぜ。可愛くて守ってやりたくなるタイプで…。」


『ほぉー…。』


「(やべ。)」
























「先生、やっぱり教え方がとてもお上手です。私の疑問が全部なくなりました!」


「それはよかった。」


「あの…また聞きに来てもいいですか?」


「あぁ、いつでもいいぞ。」



「………!」


「…?どうした?」


「…………。」


「気分でも悪いのか?なんなら保健室に…ッ!?」










『(抱き着きよったあの女―――!!!)』


「(あんな積極的だったのか!?)」












「おい!どうした!?」


「好き…!!」














『(言いよったあの女――――!!!)』


「(おおおおお俺等のミナミちゃんがああああ!!!!)」

































「先生のこと……ずっと前から好きでした。
もう、この気持ちが爆発しそうで、諦められないんです……!
先生、私と付き合って下さい!」


「…………、」





先生は戸惑ったように女子を引き離した。






「ありがとう、気持ちは嬉しい。」


「じゃあ…「でも付き合えない。」」




先生のきっぱりとした声が俺達にまでハッキリ聞こえた。







「なんでですか!?教師と生徒だからですか!?」


「ああ。

だけどそれだけじゃない。


俺には大事な人がいる。

だから付き合えない。




すまない。」
























女子は泣きながら走っていった。








「名前サーン…。あの…元気出して下さーい…。」


『………ん?別に元気だけど?』


「え?」


『え?』


「え?
だって…ショックじゃねぇの?」


『自分そういうこと踏まえて惚れていますので大して堪えません。
恋は障害があるほうが燃えるっていうしね。』


「おまっ……!たくましいやつだなぁ……!!」


『は?別にって何泣いてんの!?』


「その心意気…泣ける……!!」


『わかんない!なんであんたが泣いてんのかわかんない!!』









「何やっているんだ?」


『先生!?』


「せんせぇ…名前がぁ………。」


『あたしが泣かしたみたいになってんじゃん!!』


「名前、イジメはダメだぞ。」


『違うっての!!』



























(先生の大事な人を越えて、振り向いてもらえるよう努力いたします!!ファイッオー!!)
 

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