中編

□日直ですよ、先生
1ページ/1ページ




ペンギン先生と出会って早3年。
あたしももう高校3年生です。











『(キッドのやつ、いつかシューズに牛乳入れてやる)』


何故あたしがこんなに不機嫌かと言いますと。
まぁあれですな、日直。
ゴミ出し黒板消し日誌。
この嫌な三大要素を奴は見事にほっぽらかしやがったわけですよ。

これで担任がペンギン先生以外だったらあたしまでボイコットしてたところだ。


ええそうなんです。
ペンギン先生、あたしのクラスの担任なんです。(毎日祈っていた甲斐あったわ)




『……日誌おーわり!』


時計を確認するともう6時前。
大分遅くなってしまった。
予定では5時前にペンギン先生に会いに…ゲフン。日誌を出しに行く予定だったのに!

予定狂ったじゃん、あのレッドチューリップめ。

でもペンギン先生と2人っきりってのは凄く嬉しいのでキッドのシューズに牛乳入れてやるのは勘弁してやろうと思いますまる





















――――………



















生徒達は部活なり帰宅なりでほとんど残っていなかった。




『失礼しまーす…。』


職員室も同じくガラガラだ。



ガラガラっていいよね。
けどお目当ての人いなかったらダメだよね。
お目当ての人もガラガラって一番ダメだよね。




「おー名前じゃねぇか!!」


馬鹿でかい声であたしの名前を呼んだ紅い頭のおじ様。


『シャンクス先生、恥ずかしいんであんまり大声で呼ばんといておくんなはし!!』


「名前も十分恥ずかしいぞ。」


失礼だなこのおじさん!




『ところでペンギン先生知りません?』


「んー?あいつなら資料室行くとか言っていたぞ。日誌か?じゃあ俺が渡しといて『いいでおま!!自分で渡すでおま!!』(えー……)」



あたしはシャンクス先生に取られそうになった大事な日誌を後ろに隠すと職員室から走り去った。

































『ゼェ…ゼェ……グフッ!!』


おっと咽ちゃった。


すれ違いになるのは勘弁していただきたいので走りました。
走るな危険のポスターを無視して走りました。
悪い子なんて思わないで!


目の前の数学資料室。
意を決していざノック!








コンコン




―シーン……



コンコン



―シーン……










これっていない感じじゃね?


『(わーわーわー。職員室でシャンクス先生と遊んでるんじゃなかったー…。)』


テンション下がるわー。
さげぽよー。


仕方なく日誌を先生の机に置きに職員室へ引き返したらシャンクス先生は消えていた。
変わりにバギー先生がいた。
全くと言っていいほど興味が沸かない。えへ。
















テンションが下がったまま人気のしない校舎の中を迷うことなく歩く。
行き先は自販機。
毎日の恒例、学校の終わりを締めくくるびっくるを購入するためだ。
毎日って言ってもびっくるにハマったの一週間前だけど。






『びっくるーん……。』


「ほら。」


『わーいありがとー。』


自販機に着いて差し出されたびっくるの蓋を開ける。






















…ん?
今誰にびっくる渡されたんだ?






「飲まないのか?」



『ぺ――――ン!?』






叫んだ瞬間頭を叩かれた。



「誰がペンだ。後ろに残りをちゃんと付けろ。」


叩かれた…ちょっと嬉しかったのは黙っておこう。



『あら、ペンギン先生ご機嫌うるわしゅう?』



「なんだその変な挨拶。」


眉間にシワを寄せながらブラックコーヒーを煽った。


『あ、びっくる代…。』


「ん?別にいい。」


さらりとを流すと先生は缶をごみ箱に捨てた。


『いいですよ、ちゃんと返します!』


財布を取ろうと鞄を漁っていたら先生の手が頭の上に置かれた。


「今日日直頑張ったご褒美だ。キッドに押し付けられたからこんな時間までかかったんだろ?」


先生はお疲れ様、とあたしの頭を撫でて微笑むと歩いていった。





どうしよ、今日もう頭洗わない!!!!!

キッド、いなくてありがとう!!














(てか先生、キッドがサボったの知ってたんだ)
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ