中編

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『(二人で買い物ってまずくない?)』


気がついたのはスーパーの前に着いた頃。

それまで色んな話をしたけど緊張しすぎてあんまり覚えていない。ついでに言うと手汗ベチョベチョ。


「カートで行くか。」


『先生、』


カートを片手に早速買い物を始めようとする先生のシャツと軽く引っ張った。(手汗付いたらごめんなさい)


「な、なんだ?」


先生はビックリしたように振り返った。


『あの、二人で買い物ってまずくないですか?』


「…ん?」


先生は首を傾げた。


『だから、誰かに見つかったら、その…。』


「…あぁ、そういうことか。」


あたしの言いたいことは伝わったっぽい。
けれどもそんなの関係ないと言わんばかりに買い物を再開した。


「大丈夫だ、たとえ見つかって学校にばれても誤魔化しは効く。」


『本当ですか…?』


「あぁ、例えばお前の母親と俺の母親が顔馴染だから、とかな。」


『でもそんなのあたしのお母さんに聞いたら一発でばれますよ。』


「でも事実だ。」




『は?』



「知らないのか?俺の母親とお前の母親、知り合いだぞ。」


『うっそ!!?』



何それ、ぜんっぜん知らないヨ!?


「俺は知っていたけどな。」


先生はあたしの考えを見透かしたように笑った。


「ほら、早く買い物済ませるぞ。あいつら腹へって待っているんだろ?」


『う……。』


何か納得いかない…!
なにこの疎外感!


楽しいはずの先生との買い物の時間は疑問と不満でいっぱいだった。













――――――………

















「…これで終わりだな。」


『ようやくですね。』


全部買い終えたあたし達はルフィの家へと向かっていた。
両手にはいっぱいの材料。クロネコ使ってやろうかと思った、わりかしマジで。

疲れた。非常に疲れた。




「…………。」


『ん?何ですか?』


先生はあたしの顔を眺めると少し笑った。


「いや…腑に落ちないといった顔をしていたからな。」


『そりゃそうですよ。
うちのお母さん何も言わなかっんですよ、はぶけにされてるんですよ!?』


「別にはぶけにしようと考えてる訳じゃないだろ。」


子供をあやすようにポンポンと軽く頭を撫でられた。
嬉しいよ、そりゃ嬉しいさ。
だけど完璧子供扱いされてんじゃん。




『(確かに子供だけどさー…)』


「クク……」


楽しそうな笑い声が聞こえた。犯人はもちろん先生。


『なんですか。』


ぶすっとしながら聞くと今度はさっきと違って頭をグシャッと撫でた。


「拗ねるな。もう一本びっくる買ってやるから。」


『また子供扱いした!』






………そういえば。



先生が笑っているのを横目にふと疑問が浮かんできた。





『先生、なんで公園にいたんですか?』


「ん?」


『あたしが叫んだらびっくるとコーヒー持って来ましたよね?あんなところで何やっていたんですか?』


先生は笑うのをやめて少し困った表情を見せた。


「何と言うか…まぁ名前と同じ目的だ。」



同じ目的…。



『おつかい?』


「ただの買い出しだ。」


あたし達の持っている袋を見る。
けどそこにはサボから貰ったメモに書いてある材料しか入ってないわけで。


『もももももしかしてあたし先生の妨害しました…?』


「吃りすぎだろ。気にするな、俺が好きでやったことだ。」


『いえ、それ申し訳なさすぎます!これ置いたらあたしもてつだ「あら、ペンギン!!」』




聞き覚えのある女性の声。
聞き間違えるはずない。だって毎日聞いているんだから。



「昨日ぶりです、おばさん。」


「よく会うわねー。あ、名前?おかえり!」


『(おかーん!!)』


話しているうちにもう家まで来ていたんだ。



『え、ちょっと、なんでお母さん先生のこと呼び捨て?ってか昨日ぶりって何ですか先生?』


「よくスーパーで会うからな。
ところでおばさん、名前が俺の母さんとおばさんの関係のこと知らないみたいなんですけど…。」


「あれ、ばれちゃった?

実はペンギンのお母さんとあたし、従姉妹なのよ。」






い と こ ?







「つまり俺達は、はとこってやつだ。」


『………………。』


「あらやだ、この子ったらフリーズしてる。」


「お、名前帰ってきたのか?」


「よォ、サボ。久しぶりだな。」


「おー先生久しぶりだな!で、名前は何やってんだ?」


「衝撃の事実聞いて固まってる。」


















(はとこ…ハトコ…HATOKO…)
 

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