中編
□初めてまして、先生
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この高校を選んだ理由は簡単。
家から近いから。
知り合いが沢山居るから。
そんな簡単な理由だった。
『ねっむ…。』
「もうちょっとで終わるんだから我慢しなさいよ。」
親友のナミに軽く頭をはたいて貰って眠気を飛ばす。
『じゃああれは?』
あたしの指さした方を見るとナミは呆れてため息をついた。
「…あいつは諦めたわ。」
そこには正々堂々眠りこける幼なじみのルフィの姿。
サンジに殴られてる。
「<ーー…であるからして……。>」
『あ、もう意識が………。』
「ちょっと名前!」
すまんナミ、また後で。
グッバイ入学式。
「名前!ここだ!」
入学式のあと、ルフィに引きずられるように連れてこられた場所は一本の木の下。
「これがエースの言っていた木だ!」
『へー、これがねぇ…。』
この木はお昼寝するのに最適らしい。
エース曰く、あんまり人がこなくて外からも見つけにくく、体の節々にフィットする幻の木らしい。
『確かにいいけどさ、危なくない?』
ってもう上ってるよ。
「名前も上ってこいよ!」
『へいへい。』
スカートの中にズボン履いてるし、大丈夫。なんて自分に言い聞かせて枝に足をかけた。
『おぉ!!風も気持ちいいじゃん!』
エースの話していたとおり、枝も体にフィットして気持ちいい!!
「あ!名前の方が気持ちよさそうだ!」
『え?変わんないよ…ってか来んな!揺れる!』
「にしし!大丈夫だろ!」
『いや、体重的に無理が…!』
ルフィが近づくに連れて軋みも大きくなる。
『(あ、やば…、)』
「げ、名前!」
げ、じゃないよげ、じゃ。
あたしの体は木から離れて落下中。ルフィの焦った顔が離れていく。
後で絶対ぼこってやるんだからな!!
地面とこんにちはする覚悟を決めてギュッと目をつぶる。
ーーーードサッ
「お前等何やっているんだ。」
……い、痛くない?
そのかわり知らない声が上から降ってきた。
おそるおそる顔を上げてみればそこには切れ長の目をした背の高いイケメンお兄さん。
そしてあたしは所詮お姫様抱っこってやつをして貰っている。
「名前、大丈夫か!?」
ルフィが木から飛び降りてきて駆け寄ってきた。
あの高さから飛び降りるってあんたは猿か。
「2人とも1年だろ。もうすぐHRが始まる。早く教室に行くように。」
お兄さんはあたしを降ろした。
『あ、ありがと…。』
後ろ手を降りながら歩いていく後ろ姿を見つめる。
『………。』
「名前?」
『…やばい。』
「マジか!十二指腸爆発するか!?」
『だまれ。』
(はじめまして、こんにちは)