book1


□湯浴み
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「じゃあちょっと私、湯浴みに行ってくるわ」

「はいはい、今日は緊急総会のおかげでいい汗かいちゃったものね。いってらっしゃい〜」

「あ、リクオ様に聞かれたら湯浴みが終わり次第向かいますと言っておいて」

「あら・・旦那様と一緒に入ればいいのに」

「なっ・・・無理よそんな・・!」

あからさまに恥らうつららを見て毛倡妓は面白そうに笑っていた。

これ以上からかわれる前にそそくさと台所を後にする。




『女子入浴中』の札を下げて更衣室へ入る。

入る時、どこからか視線のようなものを感じた気がした。

「・・・?気のせいかしら」

この後、夫である三代目に部屋へ呼び出されている。

「さ、早く終わらして行かないと・・・」

つららは着物を素早く脱ぐと、足早に浴場の戸をあけた。



つららは雪女であるため暑さに滅法弱い。

しかしそんな彼女も人間に変化している間は人並み程度には耐えられる。




「ふぅ・・・」

急いで入ったものの、一度湯に浸かってしまうとなかなか出たくなくなるもの。

それはつららとて同じことだった。

「あと3分くらい・・・」


その時、突然背後に気配を感じた。

しかし、振り向く前に身体を押さえられて身動きが取れなくなる。

「おいおい・・・主人に呼び出されておいて随分ゆっくりしてるじゃねぇか」


その声は聞き紛うことは決してない、夫の声だった。

「り、リクオ様・・?」

「なんだわかっちまったか」


そしてすっと身体の拘束が解かれる。

「リクオ様!なぜここに・・・」

「あ?あまりにお前が遅いもんだから、迎えに来てやったんだよ」

「だって、戸口にはちゃんと札を下げておいたでしょ・・・ぅっ!?」

叱責しようと振り向けば、一糸纏わぬ姿が目に入った。

「り、りりりリクオ様っ!せめてタオルを・・・!」

「なんだよ、オレ達ぁ夫婦だろ?んなもんいらねぇよ」

そう言ってリクオはぬらりと湯に浸かると、つららを抱き寄せた。


「・・・!リクオ様!こんなところで・・・」

「大丈夫だ、戸口の札は『清掃中』に変えておいたから」

そういってニヤリと笑うその顔をみてつららは頬を真っ赤に染めた。



「でも、もう私そろそろ上がろうかと思っていたところで・・・」

「その目的のオレがここにいるんだ。そう急ぐこたぁないんじゃねぇのか?」

「そうですけど・・・」

リクオの熱く情的な視線に耐えられなくなったつららは視線を水面に落とした。


「いつまでたってもお前は初だな・・・」

リクオは肩を抱き寄せていた手をつららの上気した頬へ移す。

そして顔を自分の方へ向けさせると、熱い口付けを落とした。

「っん・・・・うぅ・・はぁっ・・リクオ様・・」

その扇情的な表情にリクオは興奮する。


人間の姿のため、いつも螺旋を描いているその瞳は深い漆黒の色をしている。

「その姿も・・・いいもんだな」

普段と違いほのかな熱をもったその身体を撫で回すように触れる。


「はぁ・・・や・・熱い・・」

「たまには熱いのもいいだろう?」

リクオは腰に当てていた手をすうっと滑らせ、小ぶりな双丘をやわやわと揉みしだいた。

浴場の暑さも相まって、つららははぁはぁと熱そうに喘ぐ。

未だ唇をきゅっとかみ締め、必死に耐えているその姿はリクオをさらに高ぶらせる。



しかしリクオの指先がその小さな実をつまむと、つららの我慢という名のダムはあっさり決壊した。

「ああぁぁっ・・・んっ・・・はぁ、リク・・オ様っ・・ぁぁっ!」

「いつもより脆いな・・・熱いからか?」

「はいっ・・すごく熱い・・っ、です」


リクオはその反応に気を良くし、つららを覆っていたタオルを一気に引き剥がした。

「・・・!やぁ・・みないでくださいっ・・・」

つららは顔を覆って恥ずかしそうに呻いた。

「なんでだ?」

「なんでって・・・恥ずかしいから・・・」

「恥ずかしがるなよ。・・・・こんなに綺麗なんだから」

水中に透き通るように漂う白い肌がリクオをひどく魅了した。

リクオは自分の膝の上へつららを乗せると、水面から出たその膨らみに吸いついた。

またも漏れる甘い嬌声。

切なそうに身をよじる。

ちゅうちゅうとわざとらしく音を出せば、浴場に反響してやらしく響き渡る。

「ぁん・・・だめです・・声が・・はぁぁっ、ぁっ・・」

必死に口に手を当てて音を出すまいとするつらら。

しかしその手の間からは絶え間なく甘い声が漏れ出ている。

「そんなにいいか?ん?」

そう言ってリクオがそこを甘噛みすると、より一層甘美な声が響き渡る。

「そんな大きな声だしてたら・・外の奴らに聞こえちまうかもしれないぜ」

「だってぇ・・・これ、出ちゃうんだから仕方ない・・じゃないですかっ・・ぁぁう」


リクオはそんな悶えるつららを見てくつくつと笑うと、胸に添えていた手を一気に南下させた。

「・・・ぁぁっ!」

その手は薄い茂みを掻き分け魅惑の割れ目へたどり着くと、ぬるりとひと撫でする。

「おいおい・・・」

水中であるにもかかわらずぬめりを持つソコに驚く。

「はぁ・・そこは・・っ」

「こりゃぁ、湯のせいじゃねぇよな」

ぬめりを楽しむように手を割れ目に往復させる。

「ぁっ・・・ぁっ・・ちょっ、リクオ様やめっ・・んぁぁっ」

リクオは目を細めてそんな様子を楽しそうに眺めている。


「こんなにして・・・ここが屋敷一般の湯だってわかってんのか?次誰か入るときどうするつもりだよ」

「えぇっ・・・だってリクオ様が・・っ」




今日は緊急総会のあと、いつもの宴が開かれた。

そのせいで今は皆酔いつぶれ、少なくとも今日誰かがここへ入ってくることは無いだろう。

リクオはそう思ってここへ足を運んだのだった。


風呂掃除は誰も起き出さない早朝に女中妖怪によって行なわれることも知っている。



「くくっ」

そう言って指に先程から当たる小さな芽を軽く摘んだ。

「・・!ぁっ・・・・ぁんっ」


「分かってる、ここが・・・いいんだろ?」

そしてさらに緩急をつけて刺激されれば、つららは押さえていた手もだらりと垂らして口から涎を垂らしている。


「はい・・っ、そこ・・・そこがイイですっ・・・」


手枷がはずれたつららは声も抑えずに一心不乱に乱れた。

濡れたしなやかな黒髪を振り乱し、触れれば傷ついてしまいそうな美麗な身体をくねらせている。

「いいぜつらら・・・もっと乱れろ」



リクオはもう一方の空いた手でぬめった割れ目を裂いた。

その奥に空いた穴へと指を潜らせる。

「ふぁ・・っ、あぁ・・・うっ」

つららは目を瞳を潤ませて押し寄せる快楽をただ貪る。

そこにはもはや普段のしとやかにすました彼女の姿は無い。

ただひたすら欲望のままに乱れる一人の女がそこにいた。



普通の女と違うのは雪女という性故に漏れ出る、男を魅了して止まない妖艶なオーラ。

それはリクオを高ぶらせるには十分すぎるものだった。



指をひたすらつららの体内に行き来させ、熱い吐息を漏らす。

そしてその熱さがまたつららの脳を溶かしていった。


「あ・・・ああぁぁ・・・リクオ様ぁ、っ・・もう私・・」

がくがくと足を震わせて目を見開いたつららはリクオの背に回した手にぐっと力を入れた。

リクオは背に感じたその感覚でつららの限界を悟る。



「リクオ様・・ぁっ・・!もう・・・もう・・・っ、」

「・・・ああ、我慢すんな」

「はいっ・・ぁ・・ぅ・・・ぃく・・・っ!」



刹那、つららの身体がぶるるっと震えたかと思えば力なく崩れ落ちた。


「つらら・・・ん?」

リクオは力尽きたつららを支えようとして違和感を感じた。

情事で荒げた息、にしては異常な速度で上下する胸。

顔を見れば今までになく真っ赤に染まり、今までの行為のせいにしては赤すぎる。


苦しそうに顔をゆがめて生気が失われていく顔を見ているうち、リクオはさっと血の気が引いた。











「おいっ・・・毛倡妓!毛倡妓はいるか!」


大将が先程湯浴みに向かったはずのつららを抱えて大声で台所へ駆け込んできたことに驚く毛倡妓。

しかし瞬時に状況を察して直ちに介抱に立った彼女の手際はリクオも目を見張るものがあったという。




「まぁ熱さにでもやられたのでしょう・・・。明日になればよくなると思いますわ」

「そうか・・・ありがとう毛倡妓」

リクオはやっと安堵のため息を吐いた。



「にしても・・・おかしいわね。つららは湯浴みする時人間に変化するからただ湯に浸かってたくらいじゃこんなことになると思えないけど・・・」

それを聞いてリクオはぐっと目を細めた。

「・・・もしかしてリクオ様?つららと浴場で・・」

「あ、あー!風呂上りに冷えた酒でも飲むかな!じゃあありがとな毛倡妓!」


そう言って足早に部屋を出て行ってしまった。


「ふふっ・・・わかりやすいわねぇ」




翌朝、目を覚ましたつららが昨夜のことを思い出して白いその顔を真っ赤に染め上げたのは言うまでもない。



 

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