-Rose Novel-

□Necessary Pain
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ぷつ...




不健康とまで思える青白い肌に 真っ赤なラインが挽かれてゆく

「ふっ 円堂はいつ気付くかな」

一本また一本と細いながらも着実に紅い傷 を肌に残してゆくのを見ると自然と口角がつり上がってゆく

「気付いたときの円堂の反応が楽しみだな きっと親友がリスカなんて驚くだろうな 悩むだろうな!」

またぷつと、今度は あいつが綺麗だと褒めてくれてから自慢となった脚のユニホームで隠れるか隠れないかの微妙な処に刃を刃 ててゆくと今度は笑いが込み上げてきてしまった

「ふふふっ そして 悩んで悩んで悩みまくって 俺の事だけで頭の中が一杯になって しまったらいいのに」
ぐりっと刃先で傷を抉ると少し痛かったが愉しくなってきたから問題ない

「どうしたら 俺だけをもっとみてくれるかな?どうしたらずっと 一緒に居られるかな?」

円堂 はいつも他のチームメイトの事ばかり考えていて苛々する 円堂が他の奴と話して笑っているのを見ると 胸に鉛の棒が突き刺さるような痛みがはしる



「円堂」


ぽつりと呟いてみる


「円堂、円堂」


繰り返して呟やくと泣きそうになってくる


「円堂」


雫が頬を蔦ってしまうのが解った



「いっそこの気持ちを伝えてしまおうか でも円堂は気持ち悪がるだろうな いきなり同性の幼なじみからこんな重いこと言われるんだから 」

また新しい疵を付ける今度はかなり深めのものだ
ぷくと血液が小さな玉の様に膨らんだ後 脚を滑り落ちてゆく 円堂の事を考えていると心臓が締め付けられる気がする

この感情はなんだろう






(好き?いや何か違う)
(愛?いや近いが違う)


あぁ 解った――――だ

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