-Rose Novel-

□初恋1 〜出会いは少女漫画のように〜
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「風丸さんの事が好きなんです」

精一杯の告白は
貴方に
はいはい、俺も好きだよと軽くあしらわれてしまった
違う、風丸さんは分かっていない 僕と貴方の“好き ”の違いと 僕がどれだけ想っているか

風丸さんにこんな感情を 抱く様になったのは
いつからだっけ

・・・あぁ 思い出した
たしかあの風のとても強い日だった




雷門中に入り
一週間が経とうとしていて
どこの部も新入生を
自分達の部に入れようと
必死に声を張り上げ
勧誘していた気がする

興味の湧く部も特に
無かったので
帰ろうと思い
くるりと後ろを向いた
その時 凄い突風が
吹いてきて 誰かが
よろめいてきて一緒に倒れ込んでしまった

その時の事は今でも
鮮明に思い出せる

結わわれた 蒼い空の色をした髪
思わず触れてみたくなるくらい 滑らかな肌 そして一番印象に残ったのは

驚きで大きく開かれた 美しい琥珀色の瞳

綺麗・・・

第一印象はこれだった

「すまない、怪我はないか?」
と言われ体を見回してみると
手が擦りむけ
血が滲んでいた

「血が出てるじゃないか
ちょっとまっててくれよ・・・・・・ 」

ユニホームのポケットから
白いハンカチを出すと
器用に手に結んでくれた
「はい、出来たぞ」

ありがとうございますとお礼を言うと もう一度風丸さんはすまなかったなと言い走り去ってしまった

頭の片隅で少女漫画みたいだなぁなんて思いながらその後ろ姿をぽーっと見つめていたらまた強い風が吹いてきて我に返った

「これ どうしよう…」

傷に巻かれた白いハンカチは持ち主の名前すら分からない どうやって返そう また逢えるかな?





(逢いたい、もう一度あの人に逢いたい)

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