小さいモノ
□小さいモノB
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※陸也視点
「あれ?空穂はぁ??」
美奈葵と麻奈葵がひざの上でごろごろとしているのを無視してお菓子を食べている最中。
さっきからしつこかった双子がようやく落ち着いてきたので周りを見渡すと、俺の片割れがいなかった。
空穂どこいったんだ?トイレ?
「空穂君なら、会長のところへ行きましたよ」
久蘭が笑顔で答える。
「は?!なんで??」
どうして空穂が会長のところなんていってるんだよ。
「僕が空穂君にお使いを頼んだんです。ほら、今日はお茶がないでしょう。お茶が切れてしまったので、空穂君が会長に頼みにいってくれたのですよ」
なおも、笑顔で答える久蘭。
「いつの間に・・・」
近頃会長の姿を見ていない。
生徒会室に俺がいるにもかかわらず、全く会った事がない。
それについて、だいぶ不思議に思っていたんだが。
「会長ってどこにいんの?」
「自分の部屋じゃないでしょうか」
少し首をかしげた久蘭が答える。
「きっとそーだよー」
「だって会長はお部屋の中でー」
「「お楽しみ中だものー」」
そういってきゃいきゃいと笑う双子。
「はぁ?オタノシミチュウ?」
二人の言ったことが理解できなくて反復。
「こらっ。余計なこと言わないでください。陸也に悪影響です」
イマイチ理解できない俺とちがって、その意味を察した久蘭が二人を叱る。
「えー、いいじゃーん」
「事実だしぃー」
ぷくり、と同時にほっぺを膨らます美奈葵と麻奈葵。
「どういうこと?」
とりあえず、話題の根本からわからない俺をおいていかないでほしい。
「もうー陸也は純粋ちゃーんっ」
「お楽しみって言うのはぁ・・・」
「会長がぁ」
「親衛隊の子たちを部屋に連れ込んでぇー」
代わる代わるに言ってくる双子は、俺のひざで寝ていた体を起こし、同時に俺の両耳へと耳打ちした。
「「・・・・てことぉ」」
くすくすーっと、未だ耳元で笑う双子。
「あ・・・・そういう・・・こと」
「あれれーどうしちゃったの陸也ぁ」
「顔真っ赤ー」
あまり聞きなれない、ちょっぴり大人な単語に赤面。
うっせー騒ぐな双子め。
そんな単語絶対に空穂の前では使うなよ。
「やーん、りくやんかわいいっ」
慧がぴょーんとこちらに跳んできて抱きつく。
「ちょっとー慧ー」
「おーもーいーっ」
「だってりくやんかわいいんだものー」
俺が一番重いんだけど。
「で、それって本当なの?」
俺の上でなにやら争い始めた3人をそのままに、双子に聞き返す。
「えー?本当に決まってるでしょー」
「そういう噂、いっぱい聞くもーん」
だから陸也気をつけてねー、なんていう双子は未だ俺の上で暴れている。
そうだったのか・・・。
俺って結構噂とか疎い方だし・・・。
きっと美奈葵と麻奈葵のほうが人脈有りそうだし、いろいろな噂とか入ってきやすいんだろうな。
・・・て、あれ。
「そんな会長のところに空穂を一人で行かせていいわけ・・・ないよな」
さぁ・・・と血の気が引いた音が聞こえたような気がした。
「大丈夫ですよ。親衛隊の子達しか喰いませんから」
「そーそー」
「だから陸也はここにいてーっ」
お前ら、俺を離す気がないだけだろ。
「うぅー・・・空穂・・・喰われてないといいんだけど・・・」
空穂かわいいからすぐに食べられちゃうよぅ。
お兄ちゃん心配です。