小さいモノ
□小さいモノB
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・・・といういきさつだったのだが。
今頃きっと、副会長含む無駄に美形集団は、お茶なしでも例外ではなく、どんちゃん騒ぎをしているだろう。
・・・なに、俺ってパシリだったの。
そんな考えも生まれる。
まぁ、今はそんなところへ意識を飛ばしている場合ではないんだ。
回想終わり。
「・・・・」
回想なんかで現実を逃避しかけていた頭を現実に引き戻す。
少しトリップしたからって、現実が変わるほど人生は上手くできていないのだ。
相変わらず目の前に横たわる北峰先輩。
その先輩の背景には、先輩の自室の扉。
周りには人はいない。
そこにあるものは、俺と、倒れて意識不明の北峰先輩と、散らばった書類。そしてこの場を包む静寂だった。
「・・・・」
つまり助けは呼べないって事だろうわかっている。
ここは生徒会フロアなだけあって、一般生徒は「普通」入ってこれない。
このフロアに入ることが出来るのは生徒会役員と先生方、風紀委員など。
つまり、他の一般フロアよりも人が通る確立が極めて低いということで。
つまり、この状況を俺は一人で回避しないといけないと言うことで。
あっ、回避というのは別に先輩を見なかったことにして逃げるというわけではないんだよ。
この状況を乗り越えるという意味であって。
でもね、乗り越えるにはとってもとっても険しい道のりがあるような気がするんだよ。
あぁ、道のりの話をしているんじゃなかった。
なんだっけ、あぁそうだ。北峰先輩が倒れているその背景に佇むドアの向こうには何が広がっているんだろうという疑問からさらに発展を望んでみるなんて暇つぶしをしながらそれでも副会長に頼まれた例の件をまぁ簡単に言えばお使いまたの名をパシリともいうなんてかっこつけていってみましたとかいうお茶目っ気は俺には要りませんといわれたらどうしますかっていう疑問を投げかけている途中だった。
・・・あれれ、脳みそが現実から逃げようとするぞ。
そんな逃避脳を必死に切り替えて。
俺が悩んでいることは唯一つ。
先輩をどうすればいいのか、それだけ。
こんな風に言えば実に単純なものに見えるけれど。
でも良く考えてみると、つまり具体的に考えてみると、どうも悩んでばかりで行動に移せない。
先輩への処置として、まずはこの冷たい廊下にほお擦りさせてしまっているので廊下からゆっくりと休めるところへ先輩を運ばなければならない。
最初に思い当たったのはもちろん保健室だ。
どんな病人でもけが人でも、とりあえずは保健室だ。
そんな単純な思考をするも、その考えはあまりにも単純すぎるわけで。
まず、保健室に行くまでの道のりがあまりにも遠すぎるので、多分実行できそうにない。
必然的に先輩を背負っていく形になると思うし、いくら先輩が軽くても、あまりに目立ちすぎる。
それは俺としてはあまりいただけない。
それは先輩にとっても同じことだろうと思う。
次に考えることは他の人に手伝ってもらうことだが、先ほども言ったように、人通りが少ないこのフロアではそれは期待できない。
では次の案。
・・・先輩の部屋に入る。
一応部屋の所有者である先輩もいるし、先輩が部屋のカードキーを持っているし、距離もほぼないに等しいので、担ぐのも問題なし。
・・・だが。
たとえ所有者である先輩がいると言ったって、気を失っている先輩に無断で部屋いはいることには変わりない。
ほぼ不法侵入の形となる。
俺はそこで悩んでいるのだが・・・。
先輩をこのままにしておくわけにもいかないし・・・。
絶対にこれは不法侵入なんだけれど・・・。
先輩ごめんなさい。勝手にお邪魔させていただきます。