小さいモノ
□小さいモノA
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新迎会も無事終わり、なんとなくクラスにも打ち解けられたような気がする今日この頃。
俺のクラス1−Sは、他のクラスより団結が強い。
その理由として、いわゆる親衛隊というものに所属しているものが少ないから。所属していても穏健派と呼ばれる人たちが多いから。
そんな感じだから、俺にとって居心地の良いクラスだ。
「りーくーやぁ」
・・・でた。
「あっ久蘭と美奈葵と麻奈葵と慧と千里じゃねぇかっ」
授業の間の休み時間に陸也に会いに来た連中の名前を全員呼ぶ陸也。
たった今陸也が呼び連ねた名前の持ち主は全て生徒会役員だ。
左から副会長、書記、書記、会計、庶務となっている。
全員ただいま絶賛陸也にべた惚れ中だ。
ちなみに同じクラスの不良、塚本くんとさきほどの沼田君も陸也に惚れているらしい。
そして、陸也と親睦を深めるべく、毎日なぜか俺と沼田君の部屋で宴会を開く。
『きゃーっ生徒会のみなさまだ』
『本当だぁっ。今日も麗しい』
廊下で女子的集団が今日も騒ぐ。
『そういえば最近、会長様見てないよね』
『噂では、毎日セフレとヤってるらしいよ』
『えっじゃあ、北峰様だけ仕事やってないっていう噂、ほんとだったの?』
最近こんな噂を耳にする。
会長が全く仕事をしてないと。
あくまでこれは噂だ。真実かはわからない。
だが、俺はこの噂の信憑性は低いと考えている。
聞いた話によると、北峰先輩は最近、授業にも出ていないという。
姿を見た人も少ない。
だから、証言が少ないわけだが、俺は新迎会の前に、一度だけ生徒会室で北峰先輩に会っている。
そのとき、彼はとても疲れたような顔をしていたような気がする。
まるで、毎日仕事をしているようなそんな感じ。
だから俺は噂を信じていない。
むしろ、北峰先輩が仕事をやっていないと仮定した場合、他の役員たちに毎日俺と沼田君の部屋にわいわい遊びに来てる暇があったらとっとと仕事へ行けといえるようになるのでありがたいんだが。
それより、本当に最近北峰先輩の姿を見ないが、先輩は大丈夫なのか。
それが少し心配である。