小さいモノ
□小さいモノ@
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「わかっているだろ。お前が犯した罪を」
「・・・はい」
どくり。
「ソレを償うことはお前なんかには一生かかっても無理だろう」
どくり。どくり。
やけに心臓の音が耳に付く。
それでも伯父さんの声だけは鮮明に聞こえる。
「だから、お前に存在価値をやっているんだ」
どくり。どくり。どくり・・・・。
わかっている。
言われなくたってわかっている。
俺の存在価値なんてそれしかないんだって。
俺は陸也の盾役で十分だ。
むしろ、俺にとってそれは適任。
それが俺に出来る最大の罪滅ぼしだともいえる。
黙った俺に対して、伯父さんはふっと鼻で笑う。
「話は以上だ。お前と話すことなんてもうない。とっとと失せろ」
そう、吐き捨てる伯父さんに、俺はソファから立ち上がり背を向ける。
俺は無言のまま、理事長室をあとにした。