小さいモノ
□小さいモノ@
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※副会長視点
めんどくさい。
この忙しいときに転校生の案内役なんてめんどくさくてしょうがない。
「はぁ・・・」
たまらずため息が出る。
あの、バ会長・・・生徒会室に戻ったら仕事押し付けまくってやりましょう・・・・・。
そんなことを考えながら門の前まで行く。
外に人影が見えたので門を開け、転校生と思われる人物たちの所へと向かう。
「こんにちわ」
いつもの営業スマイルであいさつをする。
そして改めて目の前の人物をみる・・・と。
・・・・・・これはこれは。
目の前に立っているのは瓜二つの顔をした二人の少年。
二人とも同じ黒いつやのある髪をしている。
片方はどこか強気そうで元気がよさそうだ。
そしてその整った顔立ちにどうしても目がいく。
すぐに親衛隊なんてものをつくってしまいそうだな。
先に口を開いたのも元気のよさそうな方だった。
一方、もう片方はというと、前髪が少し長めで眼鏡をしているので、どちらかというと根暗、という印象を受ける。
だが、もともと双子なだけあってこちらも良くみれば整った顔立ちに見えなくもない。
あの眼鏡と前髪がなければきっともう片方の彼と同じくらいきれいな顔立ちをしているのでしょう。
そんな風に考え、目の前の二人を案内する。
少々歩いていくと確か、陸也君、とかいった元気のいいほうが話し始めた。
その内容に、多少イラ付く。
正直、笑顔がどうの、なんていわれるのが一番癪に障る。
一言で言おう。
うざい。
しかも、敬語なし。
もう一度言わせてくれ。
うざい。
それに比べてもう一人の・・・空穂君は表情一つ変えず、そして一言もしゃべらず黙々と歩く。
なんなんだこの双子は。
生徒会室にいる、あのたちの悪い双子とはまた別な意味でたちが悪そうだ。
あまり関わらない方がいい。
否、絶対に関わらない方がいい。
この双子には(特に陸也君には)今後あまり干渉しない方がいいかもしれない。
たいていこの場合、なにかとハプニングに巻き込まれることが多いから。
経験上、の話だが。
だけど少し、
うるさい陸也君のとなりで
一度も表情が変わらない空穂君が
少しだけ気がかりだった。