小さいモノ

□小さいモノB
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たとえば公園の砂場。

そこで小さな小山を作って。

その上に小さな旗を立てて。

そうしたら少しうれしくなるけど。

その旗がぱたりと倒れてしまったら。

そうしたら少し悲しくなるけど。


たとえば本棚で。

一冊だけ本が倒れていたら、気になって他の本に立てかけるけど。

たとえば、大きな会社が倒れたら、経済に多大な影響を及ぼすけど。

たとえばどこかの国の内閣が倒れたらニュースになるけど。

たとえば、目の前に大木が倒れていて道をふさいでいたら、他の道へ遠回りするけど。

だけど。

だけど。

だけど・・・・?






わが学園のトップ。

会長が倒れていたら、どうすればいいのだろう。


「・・・北峰・・・先輩?」

俺は恐る恐る声を掛ける。

「・・・」

反応なし。

「あのー・・・?」

俺は再度声を掛ける。

「・・・」

反応なし。

「え、どうしたらいいの」

俺の呟きは誰に聞かれるわけでもなく、ただただ広い生徒会フロアの廊下に響いた。


ここが生徒会フロアということは、北峰先輩がいることは特に不自然ではなく。

むしろ一般生徒の俺のほうが不法侵入な訳だけど。

あきらかに先輩が廊下で寝そべっているのは不自然で。


・・・廊下が好きすぎて頬擦りしている間に寝ちゃったのかな?

なんてそんなことあるわけもなく。


俺が用のあった人は紛れもなく、ここで眠っている北峰先輩で。

だけど、ここで寝ていてもらわれると、俺の仕事(パシリとも言う)が終わらないわけで。

そうなると、俺の任務(パシリとも言う)が果たせないということで、それは結構困るわけで。

・・・なにより。

ここで先輩が倒れていることに、一抹の不安を覚えるわけで・・・。

「どうするのが・・・いいんだろう」

ぴくりとも動かない北峰先輩。

周りにいるのは俺、ただ一人。

困った困った。


どうして俺がこんな状況に陥ることになったのだろう。

・・・それはやはり。

俺はこの状況の「元凶達」のことを思った。


今頃生徒会室で何をしているのやら・・・。
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