保険委員な彼女

□悩み事
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 ※ 浜野side



「 、珈琲か紅茶? 」

『 うん、海くんはどっちが好きなの? 』

「 んー…俺は敢えての茶かな。ちゅーか、そんなん訊いてどうすんの? 」

『 最近保健室に相談――吐露する人が増えてきてね、その際出す飲み物が決まらなくて相談者に訊いてみたらその二つに分かれちゃったなの。 』


瑠璃歌は困ったように頭を掻きながら曖昧に笑う。因みに瑠璃歌の言う保健室は怪我の治療をするだけでなく心の怪我の治療もするのが本来の治療だ、と言うらしく週三日お悩み相談室が保健室で行われている。不思議なことにこれが意外にも的確なアドバイスをくれるらしく相談者は増えに増えているらしく、保健室の利用回数も増えたと保健の先生は喜んでいた。


「 ちゅーか相談とか悩み事なら甘ったるいのとか苦いのはダメだと思うんだよなー。こう、ホッと出来るような飲み物! 」

『 ふむふむ、 』

「 あー…えーっと…ホットミルクとか中々いいと思う! 」

『 ホットミルクなの…? 』

「 そうそうっ!俺小さい時に母さんに悩み事がある時によく淹れてもらってたんだよなー 」


こくこく、と首を縦に振り真剣な顔で俺の話を訊く瑠璃歌はホントに変なトコで真面目だと思う。面倒くさがりで授業ボイコットするのに成績優秀で、ちょっとノロマっぽいけど運動神経抜群でさ…俺は性格と頭脳、見た目と神経が矛盾してるって感じだと思うんだよなあ。


『 …ノロマで悪かったなの 』

「 ま、まままさか心読ん『 声に出してたなの! 』……え、マジで? 」

『 マジなの。 』


瑠璃歌は拗ねたようにそっぽ向く、…それさえ可愛く思える俺って何だろ。取り敢えずこのまま黙りこくったらこれ以上拗ねるから俺は笑いながら謝る。


「 ごめんって、 」

『 瑠璃歌はノロマじゃないなの…、…でもそう見えるかしら、なの。 』


………どうやら瑠璃歌は《ノロマ》と言う言葉がコンプレックスのようだ。ほら、現在進行形で椅子の上で体育座りをしていじけ始めた、器用すぎる…!


『 ……あ、でもね、 』

「 うん? 」

『 海くんが相談室やってない日に何時でもいいから来たら許してあげるなの。 』


ガタリ、不意に瑠璃歌が立ち上がり笑ってから保健室のキッチンへ向かった。


『 ……海くんは、 』

「 んー? 」

『 悩み事、ある? 』


コトリ、瑠璃歌が両手に持っていた二つのマグカップが机に置かれた。瑠璃歌の方にあるのがコーヒーミルク、俺の方にあるのが―――ホットミルク。俺は即座に瑠璃歌へ目を向ける、瑠璃歌は笑っていた。


「 あるんじゃない? 」

『 ふうん、 』

「 勉強とか、 」

『 うん、 』

「 友達関係とか、 」

『 うん、 』

「 ……今のサッカーとか、 」

『 、 』


瑠璃歌は返事をしなかった。代わりに俺の頭をぽんぽん、と叩くように撫でる。俺は只俯くしかなかった、


『 大丈夫、 』

「 ………、 」

『 海くんは、海くんなの。それと同じでサッカーはサッカーなの、過去も現在も未来もない、サッカーはサッカーなの。 』

「 瑠璃歌、 」

『 自分の思うようにやれば良いなの、 』


俺は瑠璃歌の言葉で、瑠璃歌の笑顔で、たった今救われたような気がした。



( 海くん、ホットミルク大好評なの )
( へー、やっぱりなあ。 )
(( ……自意識過剰なの ))




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 浜野くんでした、駄目だ浜

 野くん似非すぎる似非野第

 二号誕生ですようわーい。



      11.08.31.三輪連騾

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