中編、歌詞パロ
□紅一葉 第二話
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□紅一葉 第二話
一つ、昔話でもしようか。
蘭との出会いは確か幼稚園。いや、もしかしたら1、2歳の頃から会っているかもしれない。何故ってそれは私の母様と蘭の母様が古くからの付き合いだから、ひょっとしたら1、2歳の頃には既に会っている確率もあるから……っと、話がずれた。
あの頃から私達の秘密の場所は存在していて、秋になると必ず行ってたの、…手を繋いで肩を並べて。あの頃は本当に楽しかった、本当に。
『 ねえ、らん! 』
「 ん? なあに? 」
『 かみを、ゆってほしいの 』
「 かみを? 」
『 うん! じぶんでやるとね、うまくゆえないの…それに、 』
「 それに? 」
『 らんとおそろいだから! 』
「 ! うん、わかった! 」
『 ! あ、ありがとうっ! 』
あの時の私は、物凄く笑顔だったと思う。……ニヤケ顔だろうか?にしてもよくあんな恥ずかしいこと言ったなあ、私ってば小さい頃マセすぎだ。今思い出しても頭から湯気が出――と、また話がずれた。それでえっと、蘭と距離が出来たのは中一。
「 ……なあ、香苗 」
『 ん? 』
「 ………俺達、 」
少し、距離を取らないか?
そう言われた時はどれだけ悲しかっただろうか。一日中ベッドに沈んでいたような気がする。…あの日、何で蘭はあんなこと言ったんだろう、私は一体何か嫌なことでもしてしまったのだろうか?あの日までは本当に幸せで素敵だと思う。嗚呼、あの日は丁度秋で、そう言われた場所は私達の秘密の場所だった。確かあの日は秋祭りで二人着物を着て夜店を歩いていて、暫く歩いて段々飽きてきたから私達の秘密の場所へ行こうって、蘭が提案したんだ。月明かりが舞い散る紅葉を照らして、とても幻想的だった。祭りの会場の方から笛の音や御神楽太鼓の音も聴こえきて、暫くその音に浸かっていた。
――その沈黙を蘭が遮って――
私達は距離を置くようになったんだ。……蘭のあの辛そうな顔が今でも忘れられない…。
『 ねえ、蘭 』
悲しい想い出しか出てこない、ねえ、蘭。楽しかったあの頃の想い出を、私、忘れたくない。だから、あの想い出だけは忘れたくないっ!
『 らんっ、あのね…―― 』
想い出ふわり
11.09.11.三輪連騾