明歌華鬼
□第九夜
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-京市内-
倖くん今ごろ私達の話聞いてるんだよね
いくら倖くん一人でもバレるとは思わなかったな
私の男装って分かりやすいのかな…
千鶴ちゃんよりは大丈夫だと思うんだけど
あっバレちゃったこと娜津に言わなきゃ!
屯所に戻ってからでいいか、ここじゃ携帯使いないし
…倖くん信じてくれるかな
普通だったら信じないよね
私だってもし自分未来人なんですっていう人が目の前に現れたら…………信じちゃうな
って待ってよ?普通信じないって事は総司達は普通じゃないってこと!?
…いやいやいや総司達は普通だよ!
私が普通じゃないだけ!?<ポンッ>「うわぁ!!」
悶々と考えてテンパってた時頭に優しい衝撃が来た
沖「さっきっからどうしたの?彌帆ちゃん顔面白いことになってるよ?」
「か、顔に出てた!?」
沖「うん 可愛いんだけど今は巡察中だから考え事は屯所に戻ってからね」
「…はい ごめんなさい」
倖くんや土方さんと別れたあと私達一番組は京市内を巡察に出た
屯所を出てから考え事をしていた私に
しびれを切らして総司は声をかけてくれたのだ
(はずかしー////
顔面白いことって何!?)
私は恥ずかしさのあまり頭を抱えて顔を隠した
沖「…そんなに那倉くんが心配?」
「…え?」
総司の言葉に羞恥も忘れて勢いよく顔をあげた
そこにはムッとして視線をそらす総司がいた
(ムッとしてるかわいい
まさかヤキモチ焼いてる?)
沖「彌帆ちゃん土方さんの部屋でてからずっと考え事してるし、
まぁ彌帆ちゃんは優しいから那倉くんを心配するのはわかってるけど
…」
総司はそういうと下を向いて黙ってしまった
(ヤキモチだよね?
私自惚れてもいいのかなぁ
でもまだ確信は持てないし、総司自身気づいてないみたい)
「心配だけど、その前に信じてくれるかなって思ってさ
普通信じないじゃん?未来から来ました―なんて、頭がおかしいか、冗談を言っているようにしか思えないじゃん?
せっかく仲良くなれたのに、この事を知って、見せものみたいになったり、引かれちゃったりしたらいやだ」
元の世界でも娜津しか近い年で仲のいい子がいなかった
それでもなんとも思わなかった
娜津と居るのも楽しかったし、それでいいと思ってた
でもこっちに来て、倖君や平助みたいな年の近い子たちに出会えて、新選組やこの町の人たちと出会えて、楽しさがその人数分広がった
こんなことで楽しさが減るのはいやだ
こんなことで友達が減るのはいやだ
沖「…………新選組、とは言い切れないけど、少なくとも一番組には君を、見世物にしたり、引いて陰口を言うような人たちはいないよ」
総司は彌帆の頭をポンッと撫でると前を歩いている隊士達に目を移した
一番組の隊士たちは周囲を警戒しながら凛とした姿で歩いている
今朝であったばかりだけど話をして、言葉を交わして、とてもいい人たちだと思った
人を見る目に自信があるわけではないが、この人たちは新選組の人たちは信頼してもいいと感じた
沖「一応僕が選抜した人たちだから、信頼していいと思うよ
それとも、僕の人を見る目が信じられない?」
「…ううん
そうだね、信じてみようかな」
人は簡単に裏切る
今まで怖かったけど、…信じよう
新選組の人を、新しい仲間を
私の好きな人を
「彌帆――――!!!」
「!」
平「おっ帰って来たか」
沖「あ、あれ娜津ちゃんに平助じゃない?
元気だよね あのこ もうちょっと静かにできないのかな?(笑)」
「娜津…」
「おかえり―――!!!」
「ただいま!」
「娜津、あのね!」
「ん?」