novel(short : nagi)

□babysitter
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明け方早く、シンが部屋のドアを開けると、今まさにノックをしようと握った腕を上げたままのソウシが立っており、お互いに驚き見合った。

「ドクター、七緒に用事か?」

ソウシはナギが不在の間の七緒が気になり部屋を訪ねたと言う。
反対にシンもソウシに尋ねられたのだ。

「…どうしてシンがここから出てくるんだい?」

穏やかな声ではあるが、ソウシの瞳は、返答によっては一大事だよ、という警告を含んだ隙の無い眼差しである。

恋人の居ぬ間に横恋慕かと疑い責める奴がいるのであれば、誤解されたままでも別に俺は構わない…

だが、七緒のことを思えばそうもいくまい。

シンは昨夜あった出来事を弁解がましく説明しなければならない実情に、やれやれと嫌気がさすのだ。

「…で、七緒ちゃんは大丈夫?」

「ああ、スヤスヤと暢気に眠ってる」

シンはご心配ならどうぞとドアを全開にし部屋の中を見せた。

「首に絞められた痕がまだついてる。後で診てやってくれ」

「可哀想に…相当怖かったろうね。シンも心配で一晩中ついてあげてたってことだ?」

その眼は、それ以上の事はなかったんだよね?と尚も確認してくる。

ソウシの千里眼を否定しても無駄だが、認めるのも気に食わない。

「いいや、付き添ったつもりはない。俺もつい眠ってしまっただけだ。鍵を掛け忘れるようなあんな馬鹿な奴、痛い眼に会うのは自業自得だろ…」



「どうかしたのか?」

二日振りに戻ったナギが、こんな早朝に七緒の部屋の前に立つ二人を見て懸念顔を浮かべていた。





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