shanks

□その鎖骨に歯を立てる
2ページ/2ページ




「…んっ。」


何かが、俺の中で壊れた。
さっきから、ナマエの声を聞くたびに何かが身体の中で壊れていく。


1つずつ、1つずつ。


あと何個、俺の中に残っているだろう。



「シャン、クス…っ」



この歳になって、余裕がないなんて。



「…っ、ナマエ。」



なんとも言えず、情けない。




「ナマエ、愛してる…」


「…ん、ぁ…」



また1つ、壊れてく。




そのたびに心の奥で何かが急き立てられて、ナマエの綺麗な鎖骨に歯を立てた。




赤い痕への、満足感。






きっと、何回言っても足りない愛の言葉。
足りないんじゃなくて、お互いが満たされない。



だから、俺たちは身体を重ねる。


高ぶる感情の中で、お互いの熱い心に触れるために。
飽きずに、俺たちは身体を重ねる。



それでも、愛しさはどうやっても治まらなくて、
余裕のない自分に情けなくなって、




ナマエの鎖骨に、歯を立てる。





すべては愛ゆえの行為、




愛おしくて、たまらない。










(出た血は、甘くほろ苦い。)







前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ