shanks
□その鎖骨に歯を立てる
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「…んっ。」
何かが、俺の中で壊れた。
さっきから、ナマエの声を聞くたびに何かが身体の中で壊れていく。
1つずつ、1つずつ。
あと何個、俺の中に残っているだろう。
「シャン、クス…っ」
この歳になって、余裕がないなんて。
「…っ、ナマエ。」
なんとも言えず、情けない。
「ナマエ、愛してる…」
「…ん、ぁ…」
また1つ、壊れてく。
そのたびに心の奥で何かが急き立てられて、ナマエの綺麗な鎖骨に歯を立てた。
赤い痕への、満足感。
きっと、何回言っても足りない愛の言葉。
足りないんじゃなくて、お互いが満たされない。
だから、俺たちは身体を重ねる。
高ぶる感情の中で、お互いの熱い心に触れるために。
飽きずに、俺たちは身体を重ねる。
それでも、愛しさはどうやっても治まらなくて、
余裕のない自分に情けなくなって、
ナマエの鎖骨に、歯を立てる。
すべては愛ゆえの行為、
愛おしくて、たまらない。
(出た血は、甘くほろ苦い。)