shanks

□真っ赤な、涙。
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ああ、そっか。


もう、あたしは、



逃げられないんだ。





今日もまた、あなたは帰ってくる。

女の匂いを撒き散らして。




あたしじゃない、他の女の匂いを撒き散らして。




それでも、あたしは平常心を装う。


でもきっと、顔は醜い。





「あ、お頭帰ってきたのか。」





キッチンで、紅茶を飲みながらベンから貸してもらった本に目を通す。


集中、ひたすら集中。



なのになぜなのか。



外の声に、敏感に反応する自分がいた。





ダンっと強めな音がすれば、シャンクスがずかずかとキッチンに入ってくる。




行き先はもちろん、



あたしの隣。






シャンクスがどかっと椅子に腰をかければ、香る女の匂い。



自然と香るようになってるんじゃなくて、


全部、計算してのこと。






「難しそうな本、読んでんなぁ。」




匂い、雰囲気。



全部、違う女に翻弄されてる。





「こっち、来ないで。」




そんな匂い、撒き散らして。






そう一言言って、あたしは席を立つ。


唯一、事情を知ってるベンと目が合った。





「ナマエ。」




もう、やめて、



「ナマエ。」




こんなに、好きにさせないで、



「…お頭。」




気づけば、ベンが傍に立っていて、



グイッと肩を引き寄せられる。




「…ナマエ。部屋、来い。」









また今日も、泣くのだろうか。





“好き”に振り回されながら。





違う人の胸の中で。


違う人を、想って。






fin..




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