shanks

□罪と、真実
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許されない、言葉。

決して、言ってはいけない言葉。



“好き”



このたった二文字に、どれだけ悩まされただろう。
どれだけ、切なくなっただろう。



「ナマエっ…」
「シャンクスっ…」


ただ、身体を重ねたって、得るものなどないというのに。






夜の、船長室。

甘い声が、響く。



「んっ…あっ……」
「すげぇっ、締まるなっ…」


跳ねる身体、漏れる声。


「ナマエっ…イクぞっ…」
「……ひゃっ…ぁ…」


また、2人で達する。
変わらない、夜。



窓の隙間から零れる月明かりに、シャンクスの横顔が照らされる。

あたしはいつもどおり、床に散らばる服を手にする。




関係を持ったのはいつから?
そんなの、もう記憶にない。


酔った勢いで、ベッドに沈んでいったのか。


ただ、それぞれがお互いの名前を呼び、
快楽を感じていただけしか覚えてない。



こんな事いけないと思いながらも、あたしたちは罪を重ねていったのだ。
その罪の中に、あるものが生まれた。


…ただ、それだけのこと。



服を着て、あたしは静かに部屋を出る。
ひっそりと静まり返った廊下には、もう慣れた。
この、得体の知れない切なさと悲しみにも。


きっと今日も、部屋に帰って自然と零れる涙を拭うのだろう。




そんなことを考えながら、部屋に向かおうとする。
だけど、なぜか足は反対方向へと進むのだった。



着いた先は、キッチン。
理由もなく、カウンター席に座る。


誰もいない、キッチン。
いつもはあんなに賑やかなのに。


すべてが、寂しく感じられる。



そう思ったら、なぜか視界が歪んだ。
こんなところで泣きたくないと思っても、熱いものが目の奥からジワリの流れ出てくる。



傷がたくさんついた机に、一滴。
また、一滴。


ポタポタと落ちる涙は、止まることを知らないのか。

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