shanks

□消毒
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「…いたっ。」


包丁で、おもいっきり指を切った。


「あー、あー。ナマエ、大丈夫か?」


コックさんが、その声に駆け寄ってくる。


ぷくっとした血の水滴が、指の上にちょこんと座っていた。
ズクンズクンと、その指が疼く。


「んー…。なんとか。でも、血ぃ止まんない。」


そう言ってコックさんに見せると、コックさんは軽く顔をしかめた。


「こりゃ、大変だな。絆創膏でも取ってこいよ。ここは、大丈夫だから。」

「うん。ごめんね、ちょっと取ってくる。」

「おう。」


にっと笑うコックさん。


私は、指に乗っかる血の水滴が垂れないように、足早に自分の部屋へ向かった。



ズクン、ズクン。
まるで、そこに心臓があるような。
なんかよく分からない、気持ち悪さ。


でも…。
包丁で、手切るの初めてだなあ。


ぷっくりとした、血の水滴。
あまりにも赤々しくて、舐めとる気にもならない。


そんなことを思いながら、部屋に向かっていた時だった。


「お。」


前方から、声がした。
ん?と思って、落としていた視線を上げると、そこにはシャンクスの姿。
シャンクスの赤髪が、血を連想させる。


「どうしたんだ?急いでいるようだが。」


シャンクスが首を傾げる。


「コックさんの手伝いしてたら、包丁で指切っちゃって。」


ほら、と血が出ている指を顔の前に差し出す。
振動で、微かに血が揺れた。


「こりゃ、派手にやったな。綺麗な指がもったいない。」

「ははは。でも、包丁で初めて手切っちゃった。」


そう言って、小さく笑ってみる。


「消毒は?」

「んーん。まだ。部屋に絆創膏あるから、取ってこようと思って。」


そう言うと、シャンクスは少し何か考え、やがて何かにひらめいたように、意地悪く笑った。


「なぁ、ナマエ。」

「え?」

「指、貸してみろ。」


返事をするまもなく、私の指はシャンクスにとらえられる。


「えっ…ちょっ…あっ…」

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