zoro
□あなたという小説
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「ンなもん読んで、泣いてんじゃねェよ。」
ゾロが、小説に目を落とす。
しばらくすると、小説から目を離しフッと鼻で笑った。
「悪ィが、おれはこんな弱ェ男みてェにすぐ死なねェよ。約束は、守る男だからな。おれは。」
そう言って、ゾロは小説を横に置き、ナマエの体を抱き寄せた。
自分の気持ちを悟られた恥ずかしさと、安心感が入り混じって心の中で疼く。
私は、無意識にゾロの背中に手を回していた。
どうして、こういう時だけ鋭いんだろう。
私の心の弱味を、すぐ見透かす。
普段は鈍感なくせに。
「…ナマエ。」
熱いと息とともに吐き出された名前。
顔を上げたと同時に降ってくる、甘いキス。
「…んっ。」
下には、ソファ。
上には、愛しき人。
ゾロの熱い舌が、歯列を甘くなぞる。
「んっ…あっ。」
水槽の機械音。
お互いの息遣い。
甘い、声。
ゾロという小説を、今一度…
fin..