zoro

□想い
2ページ/3ページ




…こくっ…こくっ…

がくんと首が落ちて、ハッと目が覚める。
さっきから、幾度となく続く無意識な行動。

不寝番のナマエは、目をこすった。

静かな波の音。
微かに揺れる船。

この2つが、ナマエの睡魔を容赦なく誘う。

あと数分もすれば交代のクルーが来るから、なんとか目を覚まさないと…


…そういえば、交代のクルーは誰だっただろうか。


今にも闇に落ちていきそうな思考を懸命に働かせ、思い出す。

ナミは昨日で、チョッパーも昨日…
その次は…


「…あっ。」

思考回路が正解と結びあったと同時に、声が漏れた。

次のクルーは、ゾロ。


「ゾロ、か。」

たった、2文字。
それなのに、心の中でこの名を呼べば心がギュッと捕まれたように痛くなり。
口に出してみれば、鼓動が高鳴る。


これが、どういう事を表してるのかも分かってる。
私は、ゾロをどう思ってるかも。

それでも、表そうとしないのは意地なのか、認めたくないのか。



甲板の方から、足音が聞こえる。きっと、それはあの人の足音。


フワリとした感覚に包まれる。
睡魔が本格的に、自分を襲い始めたのだろう。

きっと、逃れられない。
瞼を閉じれば、最後。
私は闇に落ちていく。


「…ナマエ。」

優しく名を呼ぶ、あなたの声。

「ぞ…ろ…」


「――――。」



もう、逃れられない。
私は、睡魔に囚われてしまったから。

もう、逃れられない。
私は、あなたに恋をしてしまったから。


最後にゾロが何か言ったような気がしたけど、私は既に闇に落ちていて。


間一髪抱き止めてくれた、力強いゾロの腕の中で、眠るのだった。





次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ