バテン・カイトス
□ふたり
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燃えているヌンキ渓谷を抜けて
2人は月騙しの森に来た。
山を隔てて向かい側のこちらは
川の流れが穏やかで、ヒンヤリと心地いい風が肌を休ませる。
「キュイ・・・キュウキュー!!」
何故かここにはグレイソーンが沢山いて、好奇心旺盛な彼らはヒューズの前を根性試しのように茂みから茂みへとぴょこぴょこ行き交っている。
『ヒューズ!!お待たせ・・・!!』
「わざわざここまで移動せずにヌンキでやればいいだろう。」
グレイソーンに遊ばれて内心ムッとしながら、ヒューズはヒカリにぼやいた。
『だめ。ヌンキは今熱いし、環境がよくないから・・・。ホントはフェルカドとかケバルライで休みたかったけれど・・・・・・。』
事が事だけにサダルスウドは完全に帝国に嫌悪を表していた。
帝国兵は今や現地で停泊することが難しく、ヌンキの崖下で野営状態なのが現実だ。
『・・・そんなことより、マキナを外さなくちゃ・・・・・・うわ・・・もう、火傷してるじゃない!!』
ヒューズの腕を覆うマキナを外す。
高温によって火傷がひどい。
『もう!!あなたのマキナはヴァララとナスカと違って扱いが大変だって何度も言ったじゃない!!』
わたぼうしのコットンに大量に消毒液を染み込ませるヒカリ。
「・・・別段痛みは無かったんだよ。これくらいでいちいち休んでもいられっ!?」
『これぐらいって!?・・・・・・?ちょっと、ヒューズ・・・??』
ヒューズの腕の火傷に突如とてもひどい衝撃が走った。
ヒカリがコットンを半ば強くあてがった瞬間だった。
『・・・気絶してる・・・。・・・・・・・・・やだ私、これ、しみる消毒液・・・。』
冷静になって薬ビンを見ると、「しみる消毒液、取り扱い注意!!早く治るが大量に使用すると気絶の恐れアリ!!」の文字が。
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