バテン・カイトス
□時
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「……お父さま!!」
「──ミリィ、行こう。」
真っ暗になった視界には何も映らない。
ただ、最後に見たのは君によく似ている娘の泣き顔だった。
私は君を幸せにできたのか。
娘は幸せだったのか。
ダイモン、お前は私をどう思う?
『あなた…ねぇ、───────バアルハイト!」
「…!?」
「もう!寝坊助!早く支度して行かないと、アヌエヌエへ会合に間に合わないわよ?」
時計は5時を指していた。
外は薄暗い…というよりは薄明るい。
状況が呑み込めないバアルハイトに、お腹の大きい妻ヒカリが彼の額に触れた。
「…どうしたのよ、ぼーっとして。」
「いや、…会合は今日の17時からなんだが…」
「え?…あ、…まだ朝の4時30分?やだ、またやっちゃった!」
あははと笑う彼女。
初めて出会った時と変わらず、抜けているというか…
「…ふぅ。ごめんなさいバアルハイト。じゃあもう少し横にならせて…なんか、お腹が痛くて…」
最初は目立たなかったお腹は、もうすぐで生まれる我が子が育っているのがよくわかった。
そんな彼女がゆっくりとベッドに倒れたが、次の瞬間触れたシーツに異変があるのに気づいたのはバアルハイトだった。
「ヒカリ、待っていなさい!…医者を…!医者を呼んでくる!!」
破水だ。
「きゃー!!破水!!私!ど、どうしよう!!…あ、安静に!安静よ!!」
その数時間後、私と彼女の形ある絆が産声をあげた。
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