FF15
□存在理由
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「……ここは………」
「ソムヌス・ルシス・チェラム」
「!?」
気がついた時、
色の無くなった世界にいた。
俯瞰して、自分の身体を抱き起こすギルガメッシュや、転がる兄だったシガイと神凪エイラの残骸。
どことも分からぬ状況で声がしたのと同時に振り返ると、全身を鎧で覆われた巨人の手中の中に自分はいる。
驚きのあまりに後ろへたじろいだ。
その瞬間、世界は それ とクリスタルだけを残していく。
「我が名は剣神バハムート。真の王を導く者」
その巨大な瞳はどこかで見た事のあるような冷たい色をしていた。
剣神というならば、それは神であるとソムヌスは解釈をする。
「では、これで闇は…シガイ達は消え去るのだな??」
神の降臨にソムヌスは心做しか安堵した。
これで世界は平和になる。そして、彼女もまた目を覚ましてくれるだろうと。
しかし、剣神の返答はその安堵を尽く絶望へと突き落とすものだった。
「星の病を払うのは、選ばれし真の王の力だけ。お前はその初めの道標にすぎない」
「どういう事だ!!闇は!?世界は解放されたのでは無かったのか!!」
話が違う!と叫ばずには居られなかった。
愛する者のため、世界の為に神凪を巻き込んでまで兄を殺した。それなのに、と。
しかしソムヌスに対して剣神は、瞬きの一つもせず無表情な眼差しを向けたまま語る。
「世界の解放は真の王の役目。この闇はその小さな歩み始めに過ぎず。ルシスの王が世界を救う。それは闇を限界にまで誘い…」
「ふざけるな!!俺の代で使命は全うされると、あなたは仰られたでは無いか!!」
「…貴様の役目としては、だ。現に女は望み通りに病から救われる。それは後世に血を継ぎ、真の王を待つための」
「ヒカリまでその駒だと言うのか!!神が人を欺くような真似を!?我々はあなたを信仰し身を捧げて来た!その対価が──ぐあっ!?」
ソムヌスが剣神に怒りを露わにすると、突如光の剣が見えない壁へとソムヌスを貫き留めた。まるで兄が昔作った虫の標本のように。
夢幻の空間なのに激痛で声が出ない。神の怒りの強さを味わった気がした。
「人の為にでは無い。世界の為にだ。ソムヌス・ルシス・チェラムよ、その事をよく覚えておくのだ。その為には犠牲が付き物なのを貴様はよく知っているはず」
「・・・しかしっ!!・・・ぬぁああっ!!?」
「犠牲への覚悟が甘いのなら、身をもって知る機会を与えてやろう。それもまた運命の内だ。それまで、なすすべもなく狼狽えようが、勇み行こうが結果は変わらぬ・・・」
薄れ行く剣神の姿に手を伸ばそうとしたが、目を押えられたように風景が真っ黒に遮断されると、また燃えつくような痛みが指輪をはめた側の腕へとせり上がってきた。
「・・・はぁっ、はぁっ、」
ぼたぼたと玉の汗が床に垂れる。
初めてクリスタルが発していた最後の瞬間の静かな光を見て、おぞましさを感じた。