FF15
□迫る分かれ道
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「これなら後ろで居眠りしても問題無いな」
ダスカの砂漠。
太陽が登る前からの早い出発でリードまであと一日の距離まで一行は駆け抜けた。
途中途中、ソムヌスはヒカリにチョコボの手綱を持たせては(しかしその上から自分の手を添える)、その扱いに慣れさせていった。
「振り落とされてしまいますよ!しっかり起きていてください」
少し拗ねたように注意するヒカリに、ソムヌスは思わず笑みが零れた。
「この後は…ほら、あそこで煙が立っているだろう??アルスト地区で夜を過ごすんだ。明日、また早くに起きて、一気にルシスへ帰国になる」
そう言ってソムヌスが指をさした方向に、微かな緑とその中でたつ生活の煙が見えた。
ドスドスと砂を踏む別のチョコボの足音に2人が振り返る。
「ソムヌス様、交代の時間です。さ、ヒカリ様はこちらへ」
「はい!」
ソムヌスは少しため息をつくと、先にチョコボから降りてヒカリを降ろしてやる。
ヒカリはソムヌスに礼を言うと、荷物袋から水の皮袋を取り出して黒チョコボに与えた。
「クェー、クェー!!」
「うわぁっ!?・・・ちょっとー!!引っかかったじゃない…」
「クェー!!」
「こら!返しなさいっ!!ほあっ!!ふん!!ほいっ!!」
黒チョコボは相変わらずイタズラ好きで、ヒカリの皮袋を奪って水分補給しては、袋を奪いヒカリに浴びせた。
ヒカリは何度も飛んで、くわえられた袋に手を伸ばすが、届かないようにかわす黒チョコボ。
「ほら、遊んでないでギルガメッシュのチョコボに乗るんだ。お前も、ヒカリで遊ぶんじゃない」
パッと黒チョコボから袋を取り返して、ヒカリを抱き上げてギルガメッシュの元に届けるソムヌス。
「さ、ヒカリ様。日除けを深く被ってくだされ」
「あの黒チョコボ、すぐ私をバカにするのよ。もう、ソムヌス様にも笑われてしまいます」
はぁ、と短いため息をつくヒカリにギルガメッシュの少し笑う声が漏れた。
「ヒカリ様が同乗されない機会で、さすがにあの黒チョコボも失敗したと思われますが・・・」
「あら・・・」
前を行くソムヌスのただならぬ気迫に、黒チョコボが助けてくれと言わんばかりの表情でコチラを振り向いたが、誰にも手を差し伸べられることも無く先頭を走っていった。
「・・・良いか黒チョコボ、ヒカリに危害を加えたり悲しませたら覚悟をしておくんだ・・・この世にはトリを串に刺して焼く文化があってだな・・・」
という情報を淡々と黒チョコボに聞こえる低いトーンで話し続けたソムヌスだった。