FF15

□清き願い
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「エイラ様!!明日、クレイン領よりソムヌス様達が出発されるそうです!!今書状が!!」



「それは本当ですか!!」



ああ、神よ。とエイラは天井を仰いだ。
内密に出そうとしていた書状をくしゃくしゃに丸めて走り出したのは地下牢だった。



「エイラ様」



「アーデンは落ち着いている?」



地下牢の番の者に中の様子を伺う。



「はっ。今はお食事を召し上がられています」



「そう・・・」



エイラは扉を開くと階段を下る。



「アーデン、体調はどう?こんな所で・・・辛いでしょう」



「ああ、エイラ、今やっと落ち着いたところだよ。せっかく侍女が温かい食事を持ってきてくれたのにすっかり冷たくなってしまった」




鉄格子越しの、いつもの様に明るく振る舞い続けるアーデンの声色では騙せない程の皮膚の赤黒い色に、エイラは眉を顰めた。



「ソムヌス達が明日、クレイン領から出発するそうよ。準備は私が何とか誤魔化すわ」



「ああ。すまないエイラ。まぁ、こういう時に日頃の行いがモノを言うって感じだね。フラフラしていて良かったよ」



「もう!!その日頃の行いが今身体に祟っているんでしょう!!」



ヘラヘラと笑う婚約者についつい声を荒らげてしまうエイラ。


ソムヌスが不在の日々で、城には救いを求める人々が押し寄せた。
一日できる限りの者にあの力を使い病を吸い続けたアーデンの異変に気付き、エイラは渋々地下牢へと彼を隔離する。



「私の力ではどうにもできない・・・。とても歯がゆい事だわ。ソムヌスには咎められるかもしれないけれど、ヒカリに内密で何とかして貰えるようにお願いしてみます」



ソムヌスの名を聞いただけで、きっとこの状況をひどい顔で拒絶するだろうと安易に想像はつく。特にヒカリが絡むと弟はそれに携わるモノの理を破壊するだろうとすら思える。



「あまり真剣に思いつめないでくれ、エイラ。もしソムヌスの逆鱗にでも触れたら、例え君が神凪でもあれは容赦しないだろうから…」



「やれる事はやるだけよ。アーデン、どうか病に負けないで。早く治して私の傍にいて」



エイラはそう言い残して地下牢から出ていった。


その扉の閉まる音を聞いて、アーデンは糸の切れたあやつり人形のように横たわる。



「ぐぬぅ・・・うあ゙っ・・・」



手の痛みを、床を殴る痛みでなんとか制する。



「(これはさすがに堪えるな・・・しかし、これも神のあたえた試練)」



そのまま咳と倦怠感で倒れ込んだまま、アーデンは目を閉じた。


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