FF15

□素直になるという事
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──あれから2日後


ソムヌスはヒカリの手伝いもあって、快復し遅れていた執務に取り掛かっていた。

外ではルティヤとギルガメッシュが兵たちに訓練している声が聞こえる。
もちろんその中にヒカリの姿もあった。


ソムヌスも時々己の剣を出してみてはその力の戻り具合を様子見ていた。



「ねぇルティヤ、貴方はいつから剣を初めたの??」


「生まれた時からだ」


「えっと・・・うーん、じゃあ上達したのは?どのくらいの期間で?」



ヒカリの質問に淡々と答えていくルティヤ。
その回答の意味がヒカリの思っていた以上に分かりにくく、やや怯んでしまう。



「さぁ。上達も何も無かったからな…。ただ剣を手にして、使命を全うしていただけだ」



相変わらず変わることの無い表情で話しを終わらせようとする。



「私もいつか、貴方みたいに強くなれるかしら。そうしたらソムヌス様の傍にいて、ギルガメッシュの様に・・・」



「無理に振り回して相手の足でまといになるのは避けるべきだ」



「もう!!分かってるってば!!」



すこし浮ついた事を話すと冗談とも取らずにルティヤが冷たく返す。
そのやり取りももうすっかり慣れてしまった。



ふと視線を感じたヒカリが建物を見上げると、窓からソムヌスの姿が見えた。



「ソムヌスさまー!!」



その呼び声にソムヌスは窓の外に視線を向ける。


下ではヒカリがこちらに向かって大手を振っていた。
その傍らにルティヤが居るのが不愉快であったのだが、あえて見ないふりをしてヒカリだけに片手を小さくあげて答えてやる。



「あ!!気づいてくださった!!ねぇルティヤ、もう休憩の時間よね?私、ソムヌス様の所へ行ってきますね!!」



遊び道具に興奮して飛び回る子猫のように、忙しなく駆け回るヒカリ。


それを無表情の瞳だけがただ捉えていた。





******


3回のノックに返事をするソムヌス。
扉を肘で器用に開けてヒカリがお盆を持って入ってきた。


「ソムヌス様!!どうしましたか!?」



汗ばんでいるソムヌスに驚いて近寄るヒカリだったが、ソムヌスは慌ててそれを制止する。


「いや、鈍った身体を少し動かしていただけだ・・・」


「あ、ごめんなさい。体調が悪いのかと…。さ、休憩をしましょう?お茶と甘い物を焼いてきました」


ヒカリはタオルを渡すと、テーブルへと支度を始める。

用意されたおやつに、執務に滅入っていた頭がどんどん冴えていく気がした。



「明日からまた遠出が始まりますね…。ソムヌス様、本当に無理はされてないですか?」



「ああ。大丈夫だ。それより明日から違う乗り物に乗るから気をつけてくれ」


違う乗り物と言う言葉に小首を傾げたヒカリ。


「物資は今まで通り馬と馬車なんだが、なにせダスカ地方は砂漠が広がっている。こうして時間を食ってしまったから我々は本隊から分離して進む予定だ」


ソムヌスがそばに置いてある地図を広げる。
指さされた孤峰の裏側に位置する街を見るが、随分と現在地より離れていた。



「その乗り物・・・とは??」


「チョコボだ」


「ちょこぼ・・・」



聞いたことあるような無いようなそんな名前に、空を仰ぐヒカリ。



「巨大な鳥だ。砂漠の中を軽快に移動出来る動物で、ダスカを主に住処としている。一度ヒカリに見せてやりたいと思っていたんだが・・・」



そんな脳天気な事を考えていたがために、こんなに大事になるとは夢にも思わなかった。


それより先の言葉を詰まらせたソムヌスの手をヒカリはそっと自分の手で包み込んだ。



「巨大な鳥ですか?とても楽しみです!!あっ・・・遊びじゃないんですよね…でも、本当に楽しみにしています!」



彼女のなりの励まし方なのだと、その気遣いに心の中で礼を言った。
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