オルタンシアサーガ
□ぬくもり
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「はっくしゅん!!」
ゼムセリア城。
窓から除く景色は一面銀世界。
さらに幾日と続く吹雪はいくら北の寒地に立ってきた城でも中は相当冷えるものだ。
「あれ・・・さっきもここ通った気がする・・・」
初めて訪れた北の地の城は作りもまた故郷とオルタンシアの城とは違い少し不慣れもあってかなかなか目的の場所へたどり着けない。
いつの間にか迷い込んだこのフロアは使われていないのか暖炉や燭台に火など焚いてあるわけでもなく外と大差ない寒さだ。
「・・・このまま城の中で遭難・・・だったりして・・・」
白い吐息と不安をポツリと吐く。
「おいおい、他国の城で死体になって出てきたらそれなりの外交問題だぜ?」
「ひっ!?」
「おっと・・・そんなにおどろく事ないだろ・・・えっと、ヒカリ、だったよな?」
いきなり後ろから出てきたアーロンに思わず驚いて腰を抜かすヒカリ。
アーロンはスッと手を差し伸べてヒカリを引っ張りあげた。
「あ、アーロンさん、ごめんなさい。ぼーっとしてて・・・」
「さっきの戦いでなかなかの立ち回りだから目ぇつけてたんだけどなぁ。日常だと結構抜けてんだなおまえん所の軍の連中は。」
オルタンシア軍の戦場と休息の差はアーロンにとってはものすごいギャップだった。
「そうですか??・・・」
「まぁ、付いてこいよ。広間まで連れてってやっから。」
アーロンとヒカリは廊下を歩きだした。