よんでますよ、アザゼルさん
□罠
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「あくっ…芥辺さぁぁん…」
予定より早く終わった長期出張依頼から帰宅した芥辺。扉を開ければ事務所内は汚物やらカレーやらはたまたポテチのカス、袋、ゴミ…異臭のする汚い空間と化していた。
芥辺が姿を現すや、泣きながら飛びついて来たひかり。そのひかりを今までいたぶっていたであろう悪魔の固まった姿…。
「お前ら…何してた…」
「わ、私たちはですね!!」
「ぁあぁあああアクタベはんっ!?出張から早いですなぁ!!さすが、いい男は仕事ができまん──」
バリバリバリッ!!
「「ギャァァァアアアッ──!!」」
言い訳や胡麻擂りを一掃した事務所は新たな赤い汚れを塗り重ねる。
───数時間後
芥辺によってお仕置きを受けたアザ&ベルは事務所を隅々までくまなくきれいにさせられ(自業自得)一通り拷問されたあと(本人たちは白旗振っていたが)魔界へ強制送還。
「戻りました!!…あら」
ひかりが一時帰宅して戻ってくれば、社長席で芥辺が本を読んでいた。
「2人とも戻したんですか?」
「ああ。今いても役立たずだから。…それより神枷さん、俺がいない間何をしていたんだ?」
佐隈さんがいるはずなのに、わざわざあの悪魔に虐げられるのか…そう問えば彼女が苦笑いをして応えた
「昨日今日と佐隈さんはお休みですよ?アザゼルさんとベルゼブブさんは依頼がきたときのために、あらかじめ佐隈さんに喚んでもらっていたので…」
そういえばそうだったと、今更思い出した芥辺。
自分からそうしたのに、予定外の悪魔二匹ですっかり忘れていた。
本当はひかりといたくて、罠を張っていたのだが…誤算だった。
「…神枷さん、ちょっと、」
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