その他詰め合わせ
□永久
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遥か昔の昔。
僕には愛する子がいた。
その子は僕よりも霊力、巫力が強くて人々から恐れられていた。
だけれど彼女にもし特別な力がなければ、ただの女の子で
人々が思うほど恐いものでもない。
彼女の事すら知らなければ誰もがこの女の子を傍に尽かせたかろう。
「美しいおなごだなぁ…」
「なにを抜かしとる!アレはあぁみえて恐ろしい女…。葉王様は何故あの魔物を殺さぬのだろうか…」
屋敷の長い廊下を華奢な娘が歩く姿を見て家来がどよめく。
「…君は彼らを殺したくはならないのかい?」
部屋に呼んでは話し相手をさせていた。
いつ見ても白く可憐な彼女は、そんな見かけだけの美しさで生きてはいない女で
答えは
「いいえ葉王様。」
と優しい笑顔で言う。
「僕は君の事を見た目や力だけでしか知らない彼らが嫌いだ。」
彼女の膝へ頭を乗せれば、困ったような顔をして僕を見ては頬を触れてくる君。
手を伸ばせば柔らかい唇に触れられるのに、それ以上の気持ちを重ねたら壊れてしまいそうで出来ない。
「僕は君が大好きだよ。ひかり。」
だけど君は僕ですら他の人間と同じ様に扱う。
「人の記憶はいつか消えてしまいます。忘却の前に永久(とこしえ)は無いのです。…だから、きっと頭の良い葉王様は私の事を忘れてしまえます。」
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