その他詰め合わせ

□家族
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「ファウストさん、調子はいかがですか?」


宿から離れた場所に、いつものようにファウストが自分の腕を縫いながら歌っていた。


ひかりはニコニコとそばによって隣に立つと、ファウストは目の前の景色を眺めながら笑った。


「特に変わりはありませんよ。ほら、僕のエリザも相変わらず美しいでしょう?」


そういうと、ファウストはエリザを現した。


「本当ですね。いつもお綺麗です。」


ひかりがそういうと、心なしか、エリザが笑んだ気がした。


「そういうひかりさんこそ、エリファスが傍にいないようですが喧嘩でもしたんですか?」

ファウストの質問にひかりは苦笑いして再びエリザを見る。


「まさに、美男美女夫婦ですね。いいなぁ。私の両親もこんなに優しい二人ならいいなぁ。」

照れたように話すひかりを見て、ファウストは笑った。


そういえば
まん太から聞いた話、
彼女は両親がいないし、顔も知らないと。


だからいつもファウストたちを見て まだ見ぬ両親を想像していると言っていた。


「きっと、君の母親は綺麗な女性だったと思いますよ。」


「え?…ファウストさん、分かるんですか?」


「君の目のあたりの造りが、エリザに似ているからね。そういう(美人)遺伝子なんでしょう。」


ちょっと期待はずれな答えだったが、ひかりは何故かファウストの優しさを感じた。


「スミマセン。ちょっと元気付けようとしたのですが」


「十分元気がでましたよ。エリザさんに似ているあたり、光栄ですよ。」


ファウストはその言葉に安堵の笑みをする。


「おーい!!ファウストー!ひかりー!晩御飯だぞー。」


遠くから葉が二人を呼ぶ声が聞こえる。


エリザの押す車椅子に合わせて歩くひかりの手をファウストが握った。



「もし、僕達に子供がいたら君みたいな娘がいたと僕は思いますよ。」


「…ありがとうファウストさん。」



三人は宿に向かっていく。



「足が治ったら、エリザさんとファウストさんの真ん中で手を繋いで歩きたいです。」



「ええ是非。」




終わり。
 

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