その他詰め合わせ

□夢夢現
1ページ/3ページ


「雨、あがりましたね」


晴れた山道。
前の村から半刻ほど歩く。

"山の天気は変わりやすい"と
途中途中、土砂降り、小雨、じめじめした曇り…。


次の村へ着く頃には冷たい風が吹き、虹が架かっていた。



「それでは、私、お先に温泉、入ってきますね。」


「ええ。ごゆっくりと…。」


薬箱の中身を確認しながら、薬売りはひかりにそう言った。



──一刻半



「失礼いたしますー?…あ、お連れ様?」



ひかりの少し後に薬売りも風呂に行ってきたのだが、戻ってくると部屋の前で子供を負ぶった仲居と鉢合わせた。


「何の…ご用で?」


後ろの子供が病気なのだろうか。


しかし、返ってきた言葉は違った。


「何のご用じゃないですよ。旦那様。こちらのお嬢さんお連れ様でしょ?風呂場でのぼせちゃったみたいでさぁ。」


その話に初めて仲居の背にいる子をじっと見る。


確かにひかりだ。



_
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ