その他詰め合わせ
□夢夢現
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「雨、あがりましたね」
晴れた山道。
前の村から半刻ほど歩く。
"山の天気は変わりやすい"と
途中途中、土砂降り、小雨、じめじめした曇り…。
次の村へ着く頃には冷たい風が吹き、虹が架かっていた。
「それでは、私、お先に温泉、入ってきますね。」
「ええ。ごゆっくりと…。」
薬箱の中身を確認しながら、薬売りはひかりにそう言った。
──一刻半
「失礼いたしますー?…あ、お連れ様?」
ひかりの少し後に薬売りも風呂に行ってきたのだが、戻ってくると部屋の前で子供を負ぶった仲居と鉢合わせた。
「何の…ご用で?」
後ろの子供が病気なのだろうか。
しかし、返ってきた言葉は違った。
「何のご用じゃないですよ。旦那様。こちらのお嬢さんお連れ様でしょ?風呂場でのぼせちゃったみたいでさぁ。」
その話に初めて仲居の背にいる子をじっと見る。
確かにひかりだ。
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