FF15
□清き願い
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「(・・・なんというか・・・)」
翌朝、ソムヌスは自然と気持ちよく目が覚めた。
ゆっくりと顔を横に向ければ、腕の中で静かな寝息をたてて眠っているヒカリに少し浮かれる。
起き上がったソムヌスのせいで布団から肌けるヒカリを思わず観察してしまう。
「(・・・こんなにも)」
普段は露出の少ない彼女の一糸まとわぬ姿は、世の男を一瞬で虜にすであろう程の艶めかしさを実は秘めていた。
柔らかく心地のいい肌の質を、昨夜貪るように触れていた事を思い出す。
思わず顔が赤くなるが、ヒカリの声が聞きたくて彼女の頬に触れて呼びかける。
「ヒカリ、まだ眠いか?」
「ん・・・ソムヌス、さま・・・」
彼女の全てに心が騒ぐ。
「私、眠ってしまって・・・へ?!あっ!!あのっ!!」
通り抜ける風の感触を身体に感じて、思わず自分の身を見る。
隠されもせずに露になっている自分の胸を慌てて腕で隠す。
「・・・おはようございます…」
「ああ。おはよう」
ボサボサになった彼女の髪を手で整えてやると、そのまま頭を引き寄せて口付けをする。
「…今日はどのように過ごされますか??」
「明日の最終確認だな。時間はかからないはずだ。さぁ、朝食を済ませようか」
「えっ・・・」
ソムヌスが窓の傍のテーブルに視線を向ける。
そこには用意されていた朝餉。
「マテル・・・」
「ああ。用意してくれたんだ。そこに今日の着替えがあるから着たらいい」
ということは、知られてしまったのだと恥ずかしさが込み上げるものの、ヒカリは急いで着衣する。
「いただきます」
「いただきます」
2人は少し冷めたスープに口をつけると、不思議な美味しさに思わず一緒に微笑んだ。
*********
「おや、マテル殿。珍しいですな、こんな所で休憩とは」
「あら、ギルガメッシュ様かい。まぁ、あの二人が急にべたべたくっつき出したのが面白くてね」
厩舎の柵に肘をついて、離れた所でくっついて笑っているソムヌスとヒカリを見て呆れたようなため息をついた。
「ソムヌス様を最初見た時はなんて無愛想な男だと思ったもんだよ。それがヒカリ様にかかればあんな笑顔で笑うもんですねぇ」
「ソムヌス様は昔から周りの目がありましたからな。兄上様とは、された苦労が違いすぎて気を許せる相手がいなかったのだ」
ギルガメッシュは遠い日の幼いソムヌスを思い浮かべる。
最初の頃は憧れでしかなかった兄が、いつしか嫉妬の対象になってしまったことで、いつも表情は暗く時には一人泣いていた。
そんな時、ギルガメッシュは傍にいてソムヌスの欲しがっている言葉はかけられなかった。
自分では役不足だと思っていたから。
「あたしも昔はヒカリ様みたいに良い男と愛を重ねたものですよ」
「??」
マテルの言葉に頭に疑問符を浮かべたギルガメッシュに、彼女はため息をついてその場を離れていった。