バテン・カイトス

□ふたり
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ヒューズはしばらく、
諦めの悪いヒカリが
グレイソーン相手に元老院の真似やらヒューズの真似を披露しているのを見ていた。


「ヒカリ、そろそろヌンキに戻るぞ。」


『へ?あ、はい。じゃあね、グレイソーン達。』


ヒカリは慌てて立ち上がるヒューズの元に駆け寄った。


森の出口を目指す2人。


『次からはマキナを使ったら火炎氷を使ってクールダウンしてから再度使用しなきゃだめよ。』


「ああ。わかったよ。」


『ほんとにー?っとっとわっ!?』


生い茂る葉で薄暗い森の出入口の地面は、木の根で張り巡らされていてヒカリはそれにつまずいた。


木に激突しそうになるも
すかさずヒューズがヒカリを抱きとめる。


「お前はあまり調子にのるな。すぐ不注意になる。」


『調子に・・・って。』


調子にのるな・・・その言葉にしゅんとするヒカリ。


「・・・。」

『・・・。』


「はぁ。ところで、まだ鼻の下にススをつけているつもりか?みっともないぞ。」


『え!!さっきお水で拭いたつもりなんだけど・・・んー。んー。これでどう?』


ヒカリは何回か鼻の下をハンカチでこすってみた。


少しは取れたものの、オイルを含んでいるススは伸びて微かに残ったままだ。


「・・・まったくお前は。」


やれやれとばかりにヒカリの鼻の下を親指で優しく何度かこするヒューズ。

少し小憎たらしいと思ったヒューズはそのままヒカリの唇をぎゅっとつまんで軽くひねる。


『ふぐっ・・・ぷふっ・・・うーーー』


少し痛そうな迷惑そうな不服な顔に、
思わずヒューズも吹き出しそうになるが笑いをこらえる。


『ふーーーうーーー!!』


怒ったジェスチャーをしてヒカリは何度か地団駄を踏んで抗議をしてみた。


「ああ。離してやるよ・・・」


『・・・・・・結構痛かったんだよー。』


ふっと離された唇をこれみよがしに撫でるヒカリ。



「・・・結構面白かったんだが。」


『面白くないですー!!・・・・・・』



そう言ってまたヒューズに抗議しようと、ふとヒューズを見上げる。


ちょうどヒューズの顔を、深い木々の木の葉からこぼれた光がよくうつした。


その一瞬に、ヒカリは動揺する。


「・・・どうした?」


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