海賊の部屋

□想い人はお医者様!A
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「へぇー。エースは高2か、若けェな」

「いや、ローさんも若いッスよ」

ファミレスで向かい合って座りながら、賑やかに談笑している2人。
1人は短髪で、落ち着いた雰囲気をしている青年。
もう1人は、柔らかなウェーブの髪を揺らしながらモグモグと食べ物を消化していく少年。

「俺、いくつに見える?」

ローと呼ばれた青年が、エースという名の少年に尋ねた。

「え?んー…20くらい?」

エースが首をかしげながら言うと、ローはフッと吹き出して

「惜しい。26だ」

「あー…一回り位差があるッスね」

そうだな、と言いながらローはコーヒーを啜る。
その一連の動作を眺めながら、エースはボンヤリと思った。

(様になるよなぁ)

ローは目の下の隈こそ酷いものの、本当にかっこいい見た目をしている。
そこいらのモデルなんか目じゃないだろう。
今みたいにコーヒーを啜る姿でさえも、様になり店の女子が見惚れている。

「なぁーに見てんだ、コラ」

ビシィッ!となかなかに威力のあるデコピンがエースを襲った。
エースは前髪を左右に分けて額が出ているため、デコピンがしやすいのだろう。

「い゙っ…!」

「ハハッ!デコピンのしやすい額だこと」

ヒリヒリする額を手で覆うと、ニヤニヤと人を小馬鹿にした様な笑みを浮かべながらローがエースを見ていた。
瞬間、エースは理解した。

トラファルガー・ローとはこういう感じの人間なのか、と。

「だからって不意打ちは卑怯だ!」

エースが額をさすりながら抗議すれば

「バーカ、喧嘩の必勝法は不意打ちだ。基本だぜ?」

「そんな基本聞いたことねぇし!」

すぐさま反論されてしまう。
ちくしょー…と呟くと、エースの額にソッと長い指が宛てられた。

「悪ィな。そこまで痛くしたつもりはねぇんだが、大丈夫か?」

「っ…!」

少し心配そうな顔で額を見るローにビックリして、エースは少しだけ息を飲んだ。それからペイッと指を弾き

「だ、大丈夫だっ!」

恥ずかしさからか顔を赤くして叫ぶ。
そんなエースに安心した様な表情をして

「心配させんな、」

コツンと、先程とは違い優しく額を小突いた。
エースは残っていたご飯をかきこむ。

(そうでもしなきゃ、なんか…なんかっ!!)

「そんなに急いで食うと、喉に詰まるぜ?」

「わかってるっ!」

ニヤニヤと楽しそうに眺めているローを、恨めしげに睨むエース。
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