海賊の部屋

□笑ってください
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エースが笑うと、抱きしめたくなる。
エースに触れると、泣きたくなる。
エースが居ると幸せを感じる。


なぁ、お前は知らないだろ?

お前の存在が、おれにとってどれ程の価値があるか

どれ程の支えであるか


「マルコ!」

嗚呼、そんな声で呼ぶなよい

「なー、マルコ」

そんな表情でおれを見るな

「おれね、」

お前にそんな風に接しられたら

「マルコのこと、…大好き」


嗚呼…


―止まらなくなる―


「うわっ!ど、どうしたマルコ!?」

ぎゅうっとエースを抱きしめる。
慌てたようで、少し上擦った声でおれに尋ねた。

「…なぁ、」

「んん?なんだ?」

エースをさっきよりも強く引き寄せて、距離を近づける。

(このまま、一緒になれたらいいのに)

そんなことを思いながら

「お前…ずっとおれの横で笑ってろよい」

一つの我が儘をこぼした。

「―…」

エースは何も言わなかった。
何も言わず、ゆっくりとおれの背中に腕を回して

「…うん。ずっと、ずっとそばにいる」

優しく空気を震わせて、おれの鼓膜に言葉が届く。

「…ありがとう」

ゆるりとエースを離すと、またあの笑顔でおれに言うんだ。

「マルコ、大好き」

おれ達は海賊で追われる立場だから、いつ死ぬか分からない。
いつ別れがくるか分からない。
それが怖いと思うし、ずっと来なければいいと思う。
でも、おれ達は人だから、いつか死ぬ。
別れが来る。

ソレを変えることが出来ないのなら

せめて

大好きな、愛してるコイツの側で笑っていよう。

どちらが先に別れても

その先もちゃんと笑えるように。

だから、おれも笑って伝える。


「おれは、お前を愛してるよい」





【いつかの別れを恐れるならば、私の横で貴方は笑っていてください。それだけで、永久の幸せを得られるのです】

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