裏NOVEL
□眠り狼に悪戯を!
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「ダメだ…こいつもう寝る…ジェームズ、寝かしてくるから…」
「ん、いいよ。次の手考えとくから」
チェス盤を前にしてジェームズは唸るように手を口許に当てる。
日付が変わる前から始めた俺とジェームズの対決は、中々にいい勝負で…深夜を回る今に到るまで続いていた。
観戦するのが好きなリーマスは、眠いながらに途中まで盤上見つめており、時間の経過と共に頭の重さに耐えきれなくなってきたらしい。
ふらりふらりと揺れる頭は俺をはらはらさせる。
倒れやしないか心配だ。
「ほらリーマス、立てるか?」
「ん…す〜」
生返事が返り、それはそのまま寝息へと変換された。
「仕方ねぇなあ」
口ではそう言ってみるが、全く困るなんて思っていない。
俺はリーマスの両膝の裏と腰の辺りに手をやり抱き上げる。こてんと頭が俺の胸に転がった。
「…」
「寝てるからって悪戯しないようにね、シリウス」
じっと抱えたままリーマスを見下ろす俺に、ジェームズは変な笑みを浮かべて呟いてくる。
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