裏NOVEL
□carry on
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自分で調合する時間があればいくらでも出来た。
けれど今は時間がない。
ギリギリ許せる範囲の『言うこと』をさせて、ジェームズの前から姿を消したかった。
本当に腹が立つ。
「髪の毛は終わり!次は……」
身体だねっ!と爽やかに笑いかけられ、セブルスは確実に何か企んでいるなと感じた。
ジェームズの笑顔に裏が有るのを知っているのは、セブルスを含め数人。
今の笑顔は胡散臭過ぎる。
「身体くらい自分で洗える」
しれっと云うが却下された。
素肌に付いた紫の薬液を落とすため、泡に中和剤を混ぜ込んで、スルリとセブルスの身体に滑らせてくる。
「………」
以外と真面目に背中や腕を洗い、足も手早く汚れを落とされていった。
何もされそうにない?
「なんだい?不満そうな顔して…」
「──はっ?」
「物足りないって顔…、してるね」
なっ?!……っ聞き間違いだろう。そうしよう。
自分を無理に納得させて切り返す。
「……勝手に言ってろ。それより、薬は?」
怒るより薬だ。もう十分遊びには付き合った。後どれくらい時間があるのかが心配だ。
「ふむ。セブルス、君いい加減自分がピンチだって、気付いてくれない?」
面白くないんだけど?と呟くジェームズは、いつの間にかセブルスの背中に回り込んでいた。