裏NOVEL
□carry on
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「早くその解毒剤をよこせっ」
「なら、僕の言うこと聞いてくれるね?」
客観的に見ても非があるのは、無理を云うジェームズ。
けれど、圧倒的に分が悪いのはセブルス。
しばしの沈黙の後、笑顔に根負けした片方が、渋々頷くのだった…───。
【carry on】
ザッパーン──。
と頭からお湯をかけられ、気持の悪い薬液を洗い落とされた。
『この中和剤がないとそれは取れないよ?』
そう言われて解毒剤にもなる中和剤を目の前でちらつかされた。
ジェームズが出してきた『僕の言うこと』とは──。
大人しく髪を洗わせること。
薬を渡す気がないのは明らかだった。
最初は─自室のシャワーでいいと言ったセブルスに、そんな姿じゃ寮に戻れないだろう?と笑われ。
次に失敗したと思われるぜ?と魔法薬学トップのプライドを刺激してきた。
一人で風呂に入ろうとしたら、僕のせいだから洗うのを手伝わせて…ときたものだ。
なら初めから私に仕掛けるな!と叫びたい。
その内の一個でも首を振ろうものならすぐに、いらないんだ?と薬を盾に取られる始末。
最悪だ──。